「一目で分かる数は4まで」は150年前に指摘されていた
実は「4までなら瞬時に識別できる」という仮説は、今から150年以上前に、イギリスの経済学者であるウィリアム・スタンリー・ジェヴォンズ(William Stanley Jevons)により提唱されていました。
ジェヴォンズは独自の実験で、数字の4にまつわる興味深い発見をします。
彼は段ボール箱の中に黒豆をランダムに放り込み、それをチラ見しただけで数を正確に当てられるか実験。
これを1000回以上繰り返したところ、ある明確なパターンを見つけ出しました。
箱の中の黒豆が4個以下なら常に正確な個数を当てられたのに対し、黒豆が5個以上になるとチラ見での正答率が下がり始めたのです。
特に数が5より大きくなればなるほど、正答率も低下しています。
このことから彼は、人間が1〜4個までのものは、瞬時に正確な数を識別できる「スービタイジング(Subitizing:数の即座の認知)」をしており、数が5以上なら、なるべく近い数を推定する「エスティメイティング(Estimating:数の推定)」をしていると予想されました。
ジェヴォンズは1871年に自らの発見を科学雑誌『Nature』に発表しています。
彼の発見は「数の認識」に関する大きな議論を巻き起こしましたが、この仮説を証明する脳内メカニズムはこれまで特定されていませんでした。
ところが本研究チームはついにそれを発見するに至ったのです。