自然に発生した中世ヨーロッパの大学
ヨーロッパ中世の大学の起源は、言葉の由来やギルドの概念から洞察できます。
英語の”university”は、ラテン語の”universus: ウニヴェルスス”(全体)から派生した”universitas: ウニヴェルシタス”(共同体)に由来し、中世では組合の意味で使われていました。
これは”universitas magistrorum et scholarum: ウニヴェルシタス・マギストロールム・エト・スコラルム”(教師・学者の共同体)として具現化され、後に”universitas:”と短縮されました
一方で、英語の”college”もラテン語の”collegium: コレギウム”に基づいており、これは「同僚、仲間、組合」を指しています。
組合という言葉が示すように、ヨーロッパの大学は学問を共通の目的とする人々が結集し、自らの立場や利益を守るための組合組織でした。
これは、日本の大学のようにすでに学校という形態が確立されてから生まれたものとは異なり、自然発生的に生まれた集まりでした。
そのため大学の原型となったヨーロッパ最古の大学は、イタリアのボローニャ大学とサレルノ大学、フランスのパリ大学とされますが、明確な創立年はありません。
またイタリアのボローニャでは異国滞在する学生たちが市民権を持たないことから、ギルドが形成され、生活権の交渉や教師の雇用などが行われました。
さらにこれらの大学はキャンパスを持たず、講義は教師の自宅や教会で行われました。
しかし、学生集団の存在は経済的利益をもたらすことから、市当局や市民はこれらの外国籍学生団を保護したのです。
これらの歴史的な経緯から、ヨーロッパの大学は自治組織として発展し、学問と自由の思想が根付いていくことになります。