2023年「最も不思議に満ちた歴史ニュース」ベスト5!
第5位:サルですらなかった⁈圓珠院所蔵『人魚ミイラ』研究の最終報告
岡山県・浅口市にある仏教寺院「圓珠院(えんじゅいん)」には、古くから”人魚のミイラ”として伝わる奇妙な遺物が所蔵されています。
ただ本物の人魚と信じている人は少なく、これまでは「サルの上半身と魚の下半身をつなぎ合わせた偽物ではないか」と噂されていました。
そこで倉敷芸術科学大学を中心とする研究チームは、ミイラの正体を明らかにすべく、2022年2月から科学的な調査を開始。
1年にわたる調査の結果、このミイラは噂されていたサルの死骸すら使っていない、完全な人の手による造形物だったことが判明したのです。
上半身は布や紙、綿の詰め物と漆喰のような物質を土台としており、その上をフグの皮で覆っていました。
下半身には魚の骨格やヒレが見られ、その表面をニベ科魚類の皮で覆っています。
ミイラの製作年代は1800年代後半の可能性が高いとのこと。
しかし偽物とはいえ、人々の信仰の対象やお守りのような何らかの機能があったと考えられています。
第4位:史上最強の剣士はだれ?世界の歴史に名を残す「伝説の剣豪7人」
人類はこれまで数多くの武器を発明してきました。
そのなかで最もクールかつ絶大な人気を誇る武器といえば「剣」です。
しかし一方で、剣は銃に比べて攻撃距離が圧倒的に短く、持っているだけでは強力な兵器とはなりません。
使いこなすには相当の技量を要し、剣の道を極めるには長く厳しい戦いの世界を生き抜く必要がありました。
そして世界史には、各時代ごとに剣の道を極めた達人が数多く誕生したのです。
この記事では、中世ヨーロッパが生んだ最高の剣士「フィオレ・ディ・リベリ」や、フランス貴族のおてんば女剣士「ジュリー・ドービニー」、そして日本史上最高の”剣聖”と謳われる「塚原卜伝」を含む”伝説の剣豪7人”を紹介しました。
第3位:古代ローマのコンクリートにはひび割れを「自己修復」する機能があったと判明!
古代ローマ人は”建築の名手”であり、神殿や闘技場、水道橋など、技術の粋を凝らした様々な建造物を生み出しました。
驚くべきはその耐久性であり、2000年以上が経った今日でも多くが元の姿を留めています。
この耐久性の鍵を握っているのが「ローマン・コンクリート」です。
このコンクリートは古代ローマ時代に重宝された資材で、建築物に驚異的な強度や頑丈性をもたらしました。
最も有名な建造物はローマ市内にある「パンテオン」で、紀元118〜128年に建造されたにも関わらず、今でもほぼ原型をとどめています。
米マサチューセッツ工科大学(MIT)は、ローマン・コンクリートの脅威的な耐久性の秘密を探るべく、調査を実施。
その結果、コンクリートには「自己修復機能」を生み出す製造手法が用いられていたことが判明しました。
例えば、コンクリートにひび割れが生じても、そこに雨水が染み込むと中のカルシウムが外に溶け出し、炭酸カルシウムとして乾燥・硬化することで亀裂を接着し、ひび割れがそれ以上広がらないようになっていたのです。
この知恵は現代のコンクリート製造にも応用できるという。
古代ローマの技術力、恐るべし!
第2位:約290万年前の新たに発見された「史上最古の石器」を作ったのはヒト属ではなかった!
ケニア南西部にあるニャヤンガ(Nyayanga)遺跡にて見つかった”史上最古の石器”の一つ。
米スミソニアン博物館(Smithsonian Museum)は今年2月、この石器が私たちの直接祖先であるヒト属以外の、猿人の一種によって作られた可能性が高いことを発見しました。
調査によると、この石器の年代は約290万年前であることが判明しています。
ヒト科の祖先は600万年近く前に他の霊長類から派生し、猿人の多様化を経て、約200万年前にヒト属(ホモ〜と付く種)が出現しました。
またホモ・サピエンス(現生人類)が登場するのは、せいぜい約20〜30万年前です。
となると、この石器はヒト属ではない何者かによって作られたと見られます。
そして研究チームは興味深いことに、遺跡で回収された石器や動物の骨の中からヒト科動物の臼歯を発見し、これが猿人の一種「パラントロプス(Paranthropus)」であることを特定しました。
さらにパラントロプスの歯には動物の肉を食べた痕跡が見つかっており、彼らが石器を作って動物を狩っていた可能性が高いようです。
第1位:2万7000年前の巨大建築!?世界最古のピラミッド「グヌン・パダン遺跡」
ピラミッドと聞くと、多くの人は古代エジプトが頭に思い浮かぶでしょう。
しかし実は、世界最古のピラミッドが存在するのはエジプトではありません。
現在、最も古いピラミッドとされるのは、インドネシア西ジャワ州にある「グヌン・パダン(Gunung Padang)遺跡」です。
グヌン・パダン遺跡は標高895メートルのパダン山の頂上に位置し、東南アジア最大の巨石建造物といわれています。
インドネシア国立研究革新庁(BRIN)は今年10月、数十年にわたるフィールドワークを踏まえた最新報告を行いました。
最も驚くべきはグヌン・パダン遺跡が一度に建設されたのではなく、1万年以上にわたり4つの異なる段階で建設されていたことです。
上の図に見られるように、グヌン・パダン遺跡はユニット1〜4が異なる時代に増築されていました。
最も新しいユニット1は紀元前1100〜2000年頃に建造され、そして最も古いユニット4は最大で2万7000年前と推定されたのです。
これはエジプトにあるピラミッドのみならず、世界最古の巨石遺構として知られる「ギョベクリ・テペ(トルコ)」よりも遥かに古い可能性を示すものでした。