空を飛んで消火するロボットを開発
空を飛んで消火するロボットを開発 / Credit:山内 悠(秋田県立大学)ら, Frontiers in Robotics and AI(2023)
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ホースを触手のように伸ばして消火活動するロボット「ドラゴンファイヤーファイター」 (2/2)

2023.12.27 Wednesday

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空を飛んで消火する「ドラゴンファイヤーファイター」

ユニットそれぞれに4つのノズルがあり、空中に浮かびながら水を噴射する
ユニットそれぞれに4つのノズルがあり、空中に浮かびながら水を噴射する / Credit:山内 悠(秋田県立大学)ら, Frontiers in Robotics and AI(2023)

ドラゴンファイヤーファイターは、胴体と頭のユニットをホースで繋いだ構造になっており、各ユニットには4つの噴射ノズルがあります。

ロボットは、ノズルから下方向に水を噴射することで飛ぶことができ、ノズルの微妙な調整により、暴れまわることなく空中でもバランスを保てます。

消防車と繋げたロボットのノズルは、最大1メガパスカルの圧力と毎秒6.6リットルの速さで水を噴射することが可能であり、消火ポイントまで飛んでいって迅速に火を消すことができます。

デモンストレーションの様子。4倍速
デモンストレーションの様子。4倍速 / Credit:山内 悠(秋田県立大学)ら, Frontiers in Robotics and AI(2023)

またロボットの頭部カメラには、通常の視覚と熱視覚の両方が備わっており、オペレーターがロボット視点で周囲を確認したり、火元を探したりするのに役立ちます。

以下はデモンストレーション中のロボット視点の映像です。

水しぶきで視界は悪いものの、的確に火元を見つけて消火することができていますね。

研究チームはこれまでの開発期間で、ロボットに備わっているホースや電気ケーブルの耐火性、機体の防水性、噴射する水流の調整など、様々な点を改良してきました。

とはいえ、さらなる開発を行う必要があり、彼らによると「実際の消防活動で使用するには、あと10年かかる」ようです。

主な課題点は、「ロボットの長さ」です。

現在のドラゴンファイヤーファイターの長さは4mなので、確かに、実践で使うには短すぎるように思えますね。

ドラゴンファイヤーファイターの長さは4m。延長が目標
ドラゴンファイヤーファイターの長さは4m。延長が目標 / Credit:山内 悠(秋田県立大学)ら, Frontiers in Robotics and AI(2023)

チームは将来的に、ドラゴンファイヤーファイターを10m以上の長さにすることを目標にしています。

もしその目標が現実になったなら、私たちはまさに「空を昇る龍」を見ることになるでしょう。

消防士たちを危険にさらすことなく、建物の階上へと昇っていき、体と口から水を噴射して火を消してくれるのです。

ちなみに、ドラゴンファイヤーファイターの設計はオープンサイエンスとして公開されているため、世界中の研究者たちが独自の開発に利用できます。

もしかしたら将来、世界中で、火を消す様々なドラゴンが見られるようになるかもしれません。

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