宇宙人とのコンタクトの前にまずはクジラと会話
本調査を行ったのは、カリフォルニア大学デービス校とアラスカクジラ財団(AWF)および、地球外生命の発見を目的とする団体・SETI協会から成る共同研究チーム「Whale-SETI」です。
Whale-SETIは、宇宙から送られてきた信号をキャッチして応答するための言語コミュニケーションシステムの開発を進めています。
そのためにチームはまず、地球上で最も賢い生物のひとつである「ザトウクジラ」を対象に会話のやり取りができるかどうかを試そうと考えました。
ザトウクジラは非常に知能が高く、複雑な社会システムを持っており、鳴き声を通して仲間と多彩なコミュニケーションをしています。

チームは2021年8月、アラスカ沖でザトウクジラが仲間内で挨拶するときに用いる「コンタクトコール(contact call)」を高音質で録音しました。
このコールは通称「ワップ(whup)」または「スロップ(throp)」と呼ばれ、ザトウクジラが仲間を呼んだり、お互いの居場所を知らせるために使います。
研究主任のフレッド・シャープ(Fred Sharpe)氏によると「ザトウクジラが発する社会的な音のレパートリーの中で最も一般的な信号のひとつ」だという。