セルフレジは期待していたより不利益の方が大きい?顧客の負担の大きさも問題
セルフレジは期待していたより不利益の方が大きい?顧客の負担の大きさも問題 / Credit: canva
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セルフレジは本当に店舗と顧客の双方に有益なシステムなのか?

2024.01.19 Friday

今や日本でも海外でもセルフレジを導入する店舗は急速に増えています。

「近所のスーパーがいつの間にか無人レジに変わっていた」という経験もあるでしょう。

セルフレジは昨今の人手不足や外国人労働者の増加に加え、人件費を削減できるなどのメリットから、多くの業界で採用されつつあります。

しかし自らの生活を振り返ってみて、皆さんはセルフレジを積極的に活用しているでしょうか?

「面倒くさいから結局、店員さんのいるレジに並んでる」という方も多いのではないでしょうか。

実際、セルフレジの導入は期待した通りのメリットを発揮できているのでしょうか? 社会学者の意見も交えて見ていきましょう。

‘It hasn’t delivered’: The spectacular failure of self-checkout technology https://www.bbc.com/worklife/article/20240111-it-hasnt-delivered-the-spectacular-failure-of-self-checkout-technology

セルフレジは意外と不利益が大きい?

米ドルー大学(Drew University)の社会学者であるクリストファー・アンドリュース(Christopher Andrews)氏によると、セルフレジが開発されたのは1980年代のことで、1990年代から店舗に少しずつ導入され始めたといいます。

小売業者たちはセルフレジの普及により、コスト削減の新時代の到来を期待していました。

それもそのはず、従来の有人レジであれば一台ごとに店員が必要であり、人件費も高くつきます。

しかしセルフレジであれば、バーコードの読み取りから会計、袋詰めまで、すべての工程を買い物客自身がしてくれるので、人件費を大幅にカットできるのです。

それゆえ、この画期的な装置は小売業界に革命を起こすはずでした。

ところがアンドリュース氏は「ほとんどの場合、セルフレジは事前に予想されていた期待に応えていない」と指摘します。

セルフレジの弱点とは?
セルフレジの弱点とは? / Credit: canva

まずそもそも、セルフレジの製造や導入には多大なコストがかかります。

顧客の要求に柔軟に対応するため、従来のレジにはないタッチスクリーンや高度なバーコードスキャナー、それからクレジットカードや電子マネー決済にも対応したハードウェアが必要です。

さらに故障のリスクがあるため、定期的なメンテナンス費用もかかります。

アメリカの小売業界では、数十億ドルとは言わないまでも、数百万ドルをセルフレジ技術に投資しているといいます。

加えて、セルフレジの弱点となっているのが窃盗の増加です。

対面する店員がいないので、バーコードスキャナーに品物を通さずに万引きすることが容易になっています。

英レスター大学(University of Leicester)による2017年の調査では、セルフレジを利用している小売業者の損失率は業界平均の2倍以上に達していることが報告されました(Security Journal Article, 2017)。

しかし最大のデメリットは、顧客に与える負担の大きさにあると考えられます。

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