「障害がある愛ほど燃え上がる」の正体とは?
愛は障害で燃え上がるのか?
この疑問を確かめるため研究者たちは、離れ離れにしたカップルを再会させるときに、物理的な柵で遮ったり、レバーを押さないと透明なドアが開かないような仕組みを構築しました。
人間にとっては何気ない障害ですが、マウスが突破するには繰り返しの学習を必要とする、かなり困難な課題です。
しかし障害の向こうに愛する相手がいることに気付くと、プレーリーハタネズミたちは必至で柵を乗り越え、レバーを押すようになりました。
またこのときの脳内のドーパミンを調べると、障害を乗り越えようとしているときにも大量のドーパミンが放出されていることが判明します。
「頑張れば会えるかもしれない」という期待がドーパミンによって煽られ、プレーリーハタネズミたちは障害克服に挑むことに快楽(ある種のやりがい)を感じていたのです。
そして苦難を乗り越えて再会を果たすと、再び大量のドーパミンの放出が確認されました。
一方、見知らぬ相手に対してはそのような現象はみられませんでした。
この結果は、物語の文脈にも一致します。
多くの文化において「悪いドラゴンに攫われたお姫様を助けるナイト」のように、障害を克服して愛する人の元に向かう物語が語られています。
この文脈の物語が人気である背景には、ドーパミンの放出を促す仕組みが刺激されるからなのかもしれません。
しかし物語と違って現実の愛には残酷な側面も存在します。
ハッピーエンドのその後、つまり愛の終わりです。