ゲーム好きになる「ゲーマー遺伝子」が存在すると判明!
ゲーム好きになる「ゲーマー遺伝子」が存在すると判明! / Credit:Canva . ナゾロジー編集部
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大人のゲーム好きは「ゲーマー遺伝子」が原因だった!? (2/2)

2024.02.02 Friday

前ページ現在世界中で30億人がゲームをプレイしている

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男の子はゲーマー遺伝子の影響を受けやすい

ゲーム好きになる「ゲーマー遺伝子」が存在すると判明!
ゲーム好きになる「ゲーマー遺伝子」が存在すると判明! / Credit:Anders Nilsson et al . The genetics of gaming: A longitudinal twin study . JCPP Advances (2023)

遺伝学の研究では、双子は重要な位置を占めています。

一卵性双生児は同じ遺伝子を持つことがしられており、彼らの類似性や差異を調べることで、知能や学歴、恋人の好みなど特定の項目における遺伝子の影響の強さを調べることが可能になります。

例えば、里親に出された双子を追跡することで、異なる環境(家庭)における遺伝子の影響を調べることが可能になります。

これまでの双子研究では、音楽や数学、文章の才能などにおいては育った環境よりも遺伝子の影響が極めて強いことが報告されています。

今回の研究では、スウェーデンのデータバンクに登録された3万2006人の双子が対象とされ9歳、15歳、18歳のそれぞれの時期にビデオゲームとコンピューターゲームをプレイする頻度が調査されました。

またゲーム頻度は「全くしない・月1回程度、週に1、2回、週に3~6回、ほとんど毎日」の5段階で評価されました。

すると興味深いことに、上の図のように、少年はどの年齢層でも「ほぼ毎日する」との答えが最も多くなったものの、少女では年齢が上がるにつれて「全くしない」と答える割合が多くなっており、男女で大きな差がうまれていることが判明します。

また遺伝子の影響も男女差が大きくなっていました。

ゲーム好きになる「ゲーマー遺伝子」が存在すると判明!
ゲーム好きになる「ゲーマー遺伝子」が存在すると判明! / Credit:Anders Nilsson et al . The genetics of gaming: A longitudinal twin study . JCPP Advances (2023)

上の図ではゲーム頻度に対する遺伝子と環境の影響度を視覚化したものとなります。

少年では年齢が上がると遺伝子の影響が増え、環境の影響が減ります。

一方少女の場合、年齢による遺伝子の影響はほぼ同じであり、より環境から大きな影響を受けることが示されました。

具体的には、9歳から15歳までの少年では遺伝的寄与が31.3%から62.5%とほぼ2倍に上昇しました。

逆に環境の影響は年齢とともに大きく減少していきました。

遺伝子がゲーム頻度に影響するという結果は、ゲーム好きになる「ゲーマー遺伝子」が存在しており、少年では大きな影響を発揮していることを示しています。

同様の研究結果は知能などでも観察されており、知能の遺伝的寄与は幼児期では20%に過ぎませんが、成人では80%に増加することが知られています。

この結果は、年齢を重ねるにつれて人間はより遺伝子に忠実な存在になっていくことを示しています。

しかし、女の子の場合、ゲーム行動に対する遺伝的影響は、19.4% から 23.4% の範囲で、年齢を問わず比較的安定しており、環境因子の与える影響が9歳で70.5%、15歳で61.8%、18歳で60.5%と大きくなっていました。

どうやらゲーム頻度を高める「ゲーマー遺伝子」を持っていても、少女ではゲーム頻度にあまり影響を与えていないようです。

簡単にまとめれば、少年がゲーム好きになるのは主に遺伝子のせい、少女がゲーム好きになるのは主に環境のせいと言えるでしょう。

研究者たちも「女の子と男の子の大きな違いには少し驚きました」と述べています。

(※少女では、ゲーム頻度の遺伝子の影響は20%前後と少年より低くなっていますが、決して低すぎる値ではありません。スウェーデンのような男女格差が最も少ない国での研究という点でも重要でしょう)

このような男女差のある結果は、ギャンブルにおいてもみられます。

これまでの研究で「問題のないギャンブル」でも遺伝子の影響は男性で47%、女性で28%となっており、さらに男性ではギャンブル好きになるかは、ほぼ環境とは関係ないことが示されています。

遺伝子の影響に男女差がある理由について研究者たちは、単純な性差の他に、現代的な生育環境には少年のゲーマー遺伝子を刺激し、遺伝的影響を増強させている可能性があると述べています

今回の研究は双子を使った継続的なゲーム頻度の研究としては世界初であり、青年期のゲーム行動を調べる際の重要な基礎データになると考えられます。

今後ゲーマー遺伝子がどんな配列をもつかが決定されれば、遺伝子診断を行うことで、自分とゲームとの距離を適切に保つ助けになるかもしれません。

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