無重力下でもコーヒーを飲める「スペースカップ」
無重力下でもコーヒーを飲める「スペースカップ」 / Credit:NASA / Rochester Institute of Technology
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NASAが開発した変な形のカップが宇宙でコーヒーを飲むという問題を解決!

2024.02.19 Monday

「寝ぼけた目をスッキリさせてくれる朝のコーヒーや、心を落ち着かせてくれる昼食後のコーヒーは欠かせない」という人は少なくないでしょう。

ちょっとしたコーヒーブレイクがあるだけで、心には余裕が生まれるものです。

そして、過酷な環境で生活する宇宙飛行士たちにも、そんな心休まる時間が必要です。

しかし、無重力下では「いつものように」コーヒーを飲むことはできません。

そこでNASAは、無重力下でもコーヒーを飲むための特殊なカップを開発しました

NASA engineered a cup to drink coffee in zero gravity https://www.zmescience.com/future/nasa-cup-zero-gravity/ NASA: Capillary Cup https://www.rit.edu/vignellicenter/product-timecapsule/nasa-capillary-cup 宇宙船内で水を飲むときは、どうやって飲むのでしょうか? https://humans-in-space.jaxa.jp/faq/detail/000710.html

宇宙では、「いつもの」コーヒーブレイクを楽しめない

コーヒーブレイクは心の余裕を生む大事なひととき
コーヒーブレイクは心の余裕を生む大事なひととき / Credit:Canva

国際宇宙ステーション(ISS)などの無重力下(正確には微小重力下)でも、コーヒーを飲むことはできるのでしょうか。

もちろん、簡単に飲むことができます。

他の飲料と同じく、パックの中にコーヒーを閉じ込め、ストローで吸えばよいのです。

しかし、ISSに1年余り滞在したNASAの宇宙飛行士ドナルド・ペティット氏は、「パックとストローで液体を飲むことは、それほど楽しいものではない」と伝えています。

「コーヒーを飲む」ことに関しては、特にそう言えるかもしれません。

私たちがコーヒーブレイクに求めているのは、ただコーヒーを胃の中に流し込むことではないのです。

まずコーヒーの注がれたカップを持ち上げて香りを楽しみます。

次にカップを傾け、“ズズズッ”とコーヒーをすすり、ホッと一息つく。

この一連の動作がとても大切なのです。

「いつものように」カップを傾けてコーヒーを飲むには、重力が必要。
「いつものように」カップを傾けてコーヒーを飲むには、重力が必要。 / Credit:Canva,ナゾロジー編集

しかし、「カップを傾けて飲む」という動作は、上図のように重力のある環境だからこそできることです。

重力が働くからこそ、カップを傾けてもコーヒーの面は平を保っており、私たちは、カップの縁からこぼれそうになるコーヒーをすすることができるわけです。

また無重力下では、カップにコーヒーを注ぐことはできても、コーヒー(液体)は、カップの壁を濡らしながら、外にはい出てしまいます。

注ぐ勢いが強ければ船内のあちこちに水球が飛び散ることもあるでしょう。

カップにへばりつくコーヒー(左)と、カップの外にあふれ出て船内をさまようコーヒー(右)
カップにへばりつくコーヒー(左)と、カップの外にあふれ出て船内をさまようコーヒー(右) / Credit:SciNews(YouTube)_How to Drink Coffee in Space – ISSpresso & Zero-G Coffee Cup(2015)

もしくは、表面張力により、液体がカップの底や内側に張り付いたたまになり、カップを傾けてもなかなか飲むことができないかもしれません。

つまり宇宙飛行士たちが「いつものように」コーヒーブレイクを楽しむことは簡単ではないのです。

それでもNASAは、「スペースカップ」と呼ばれる特殊なカップを開発することにより、無重力下でも「カップを傾け、コーヒーをすする」ことを可能にしました。

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