北海の海底に広がる「謎のくぼみ」
過去の調査で、北海の濁った海の底に、数千個もの「浅いくぼみ」が確認されています。
その大きさは様々であり、数cmのごく小さなものもあれば、もっと大きなものもあります。形状は円形か楕円形です。
このような海底のくぼみは、一般的に海底で「メタンガス」や「地下水」が噴出することで形成されます。
実際、世界中の海底では、これらが原因のくぼみが数多く確認されています。
しかし、キール大学のシュナイダー・フォン・ダイムリング氏は長年、「北海のくぼみの原因は、メタンガスなどではない」と考えていました。
なぜなら、北海の底は多孔質の砂でできており、強い潮流もあるため、メタンが蓄積しにくいからです。
また「北海のくぼみ」と「メタンガスで形成されたくぼみ」では、形状も異なっていました。
実際、彼らが行った音響測深機器を使った調査(海底の堆積物中のメタンを検出する調査)では、メタンの存在を検出できませんでした。
そのため、「北海の海底に広がる無数のくぼみ」については、科学者たちの間でちょっとした「謎」になっていたのです。
そこで今回、ダイムリング氏ら研究チームは、「北海の謎のくぼみ」の原因を解明すべく、さらなる調査を行うことにしました。