八重山諸島、祖納集落は西表島(左の大きい島)の北西部に位置する
八重山諸島、祖納集落は西表島(左の大きい島)の北西部に位置する / credit:wikipedia
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実は日本でも蔓延していた!日本のマラリアはどうやって撲滅されたのか

2024.04.21 Sunday

マラリアは熱帯地域でよくみられる感染症であり、東南アジアなどのガイドブックでは旅行の際に気を付けるようにと書かれています。

しかしそんなマラリアですが、実はかつては日本でも蔓延していたことはあまり知られていません。

果たして昔の人々はどうやって日本からマラリアを撲滅したのでしょうか?

本記事では日本で起きたマラリアの蔓延について紹介しつつ、どうやってマラリアと戦ったのかを解説していきます。

なおこの研究は、地理学評論82巻5号 442–464pに詳細が書かれています。

近代八重山のマラリアと集落存続 (jst.go.jp) https://www.jstage.jst.go.jp/article/grj/82/5/82_5_442/_article/-char/ja/

光源氏も悩んだマラリア

マラリア原虫,現在でも熱帯を中心に猛威を振るっている
マラリア原虫,現在でも熱帯を中心に猛威を振るっている / credit:wikipedia

マラリアは、ハマダラカが媒介するマラリア原虫による感染症で、発熱や悪寒、頭痛、筋肉痛などの症状を引き起こします。

未治療の場合、脳マラリアなどの合併症が生じ、深刻な症状を引き起こすのです。

現在でも年間2億人が感染し、うち44.5万人が死亡しており、HIVや結核と共に世界三大感染症と言われています。

このマラリアは熱帯地域に多くみられる病気ですが、日本のような温帯地域でも広がりやすいタイプがあり、昔の日本では多くのマラリア患者が発生していました

古い時代の資料にはしばしば「瘧(おこり)」や「瘧病(おこりやまい/ぎゃくびょう)」と呼ばれる疫病が登場し、これがマラリアであると考えられています。

かの有名な『源氏物語』でも主人公の光源氏がマラリアからの回復を祈る呪術的儀式を行うために寺を訪れるエピソードがあり、当時の社会でマラリアがありふれたものになっていたことが窺えます。

明治時代になって近代化が進んでいってもマラリアの感染が減ることは無く、主に琵琶湖周辺の地域を中心に多く見られました。

特に福井県では大正時代には毎年9,000 – 22,000人以上の患者が発生し、1930年代でも5,000から9,000人の患者が報告されていたのです。

また本州だけでなく北海道でも明治時代以降、マラリアが流行し、北海道開拓にも支障をきたしていました。

次ページ村を挙げてのマラリア撲滅運動

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