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「自分は実年齢よりも若い」と思っている人は「脳年齢」も若いと判明

2018.07.05 Thursday

Point
・自分が実年齢よりも「若い」と思う人は、脳の構造自体も「若い」ことが判明
・具体的には「灰白質」の量が多く、うつ病傾向も少なかった
・「主観年齢」と「脳年齢」の関係を追うためには、さらなる長期的な研究が必要となる

客観的に数字でわかる「実年齢」とは別に、「自己がイメージする自分の年齢」である「主観年齢」といった概念が存在します。

最新の研究により、この「主観年齢」こそが「脳の老化」に大きな影響を与えていることが分かりました。

Feeling How Old I Am: Subjective Age Is Associated With Estimated Brain Age
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fnagi.2018.00168/full

具体的には、脳のMRIスキャンを用いることで、実年齢よりも自分は「若い」と思っている人は、「老けている」と感じている人と比べて、脳の老化が遅いことが判明しました。これは、「主観年齢」と「脳の老化」を結びつけた初めての研究となります。

数字の上では「同じ」年齢の人でも「若い」人がいれば「老けた」人もいる。これを不思議に思い、その要因として「脳の老化」に目をつけたソウル大学校のチェ・ジュンユン博士が、この研究をスタートさせました。

そして、最新の技術により脳の「老化」と結びつく部分が特定しやすくなり、およその「脳年齢」を測定することが可能になりました。実験では、59-84歳の68名が被験者となり、脳の様々な領域における「灰白質」の量を調査。また、被験者は自分の「主観年齢」や「認知能力」などについても報告し、「記憶力テスト」も行なわれました。

その結果、主観年齢が実年齢よりも若い人は、記憶力テストにおいて高得点を出すことが多く、うつ病の傾向が少ないことが判明。そして何よりも、脳の主要領域における灰白質の量が多いことが分かりました。これは、主観年齢を若く保っている人は、脳の構造自体も「若く」、老化が進んでいないことを示しています。

とはいえ、「主観年齢」が脳の構造に直接的に影響を与えているのかについて、今のところ証明ができているわけではありません。その因果関係について知るためには、さらなる長期の研究が必要となります。

チェ博士は、「もし自分が実年齢よりも『老けている』と感じているのであれば、脳を老化に導いている生活習慣を改善したほうがいいかもしれません」と述べ、「脳年齢」といった指標の重要性を語っています。

私たちは「年をとる」といったプロセスについて、一定の変化を続ける安定したものであると捉えがちです。しかしながら、その認識は間違っているようです。過ぎ去った時間は、私たち個人それぞれの「主観」によって私たちの脳に異なる影響を与えているのです。

via: medicalxpress / translated & text by なかしー

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