脳が大型化すると認知能力の平均値が底上げされる
脳の大型化は私たちにどんな影響を与えたのか?
研究では、皮質の厚さ減少と表面積の増加が同時に起きている点にも着目しています。
過去に行われた研究により、ニューロン同士の接続を最適化させ最も効率がいい神経ネットワークを作ろうとした場合「皮質の厚さを減少させ表面積を増加させる」ことが有効であることが示されています。
このことから、人類の脳は単に大型化するだけでなく、情報処理の最適化も一緒に起きていることを示しています。
また貧困にかんする最新の研究では、脳の栄養状態が悪化するとニューロンの接続密度の低下とニューロンが迅速な情報送信をするために必須な保護コーティング層がダメージを受けることも報告されています。
中世などでは栄養が十分にとれる貴族くらいしか恩恵を受けられませんでしたが、時代が進むごとにより多くの人々の脳に十分な栄養が届けられたようです。
栄養状態の改善は、ある意味で、人類の認知能力を底上げしたと言えるでしょう。
(※注意:脳の大型化は認知力の最大値を上げたのではなく、最低値を引き上げることで平均値上昇に貢献していると考えられます)
次に研究者たちは、アルツハイマー病の発症率に着目しました。
世界中でアツルハイマー病の患者数は急速に増加しています。
しかし患者数ではなく発生率に着目すると、1970年代以降、認知症の発生率が10年ごとに20%ずつ減少していることが判明しています。
研究者たちは、この認知症発生率の現象が、脳の大型化に関連している可能性があると述べています。
アルツハイマー病などの認知症を発症すると、時間の経過とともに脳が委縮していきます。
ですが最初から大きな脳を持っていれば、脳の萎縮が認知力に及ぼす影響を緩和することが可能であると考えられています。
過去に行われた研究では、脳が大きいアツルハイマー病の人ほど、認知能力が高いことが示されています。
脳の大きさと知能の高さは必ずしも連動するものではありませんが、経年劣化の緩衝材として機能しているようです。
研究者たちも「20世紀を通じてIQが上昇したことと併せて考えると、脳の大型化は認知能力の底上げに寄与している」と述べています。
脳を大型化させる要因をより細かく突き止めることができれば、認知症への抵抗力をあげられる薬を開発するヒントになるでしょう。
数万年単位で脳の小型化があるなら、これからの遠い未来は、AIの進化による自己家畜化が起きて、再び脳が小型化するんだろうなぁと想像してみる。農耕地の自己家畜化のように…