ネズミの頭を別のネズミの体に移植する研究のまとめ「頭部移植の歴史」
ネズミの頭を別のネズミの体に移植する研究のまとめ「頭部移植の歴史」 / Credit:Xiao-Ping Ren et al . Allogeneic Head and Body Reconstruction: Mouse Model . CNS Neuroscience & Therapeutics (2014)
biology

頭部移植は可能なのか?マウスの頭を別の体に移植する研究 (2/3)

2024.05.01 Wednesday

前ページ4コマ漫画での概略の説明

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頭部移植で双頭マウスを作る

2015年に発表された研究では、より洗練された方法が使われました。

以前の研究では、体を提供するマウスを前後で切断され、体には脳幹を中心とした僅かな脳しか残されませんでした。

しかし新たな研究ではこの点が改良され、両方の脳が無傷のままであり、血管の結合場所も工夫が行われました。

改良版では両方のマウスの脳は無傷のまま結合される
改良版では両方のマウスの脳は無傷のまま結合される / Credit:Xiao-Ping Ren et al . Head Transplantation in Mouse Model . CNS Neuroscience & Therapeutics (2015)

人間やマウスの体には首の左側と右側に頸動脈と経静脈のセットがそれぞれ存在しています。

実験ではこの2セットを体を提供するマウスと頭部を提供するマウスの両方に割り振ることで、両方のマウス脳の生存を目指しました。

結合された頭部にもまだ意識があるのかもしれない
結合された頭部にもまだ意識があるのかもしれない / Credit:Xiao-Ping Ren et al . Head Transplantation in Mouse Model . CNS Neuroscience & Therapeutics (2015)

結果、12 対のマウスが 24 時間以上生存していることが確認できました。

また移植後 1.5 ~ 2 時間以内に、両方のマウスが意識を取り戻し、まばたきやひげの動きなど、脳神経反射が活性化されました。

結合マウスのバイタルサインは前回と比べて大幅に安定している
結合マウスのバイタルサインは前回と比べて大幅に安定している / Credit:Xiao-Ping Ren et al . Head Transplantation in Mouse Model . CNS Neuroscience & Therapeutics (2015)

さらに手術前と手術後で脳波と心電図を調べたところ以前の研究よりもより正常な電気生理学的活動を示していました。

両方のマウスの脳を無傷にしたまま、頸動脈と経静脈を分け合うというアイディアが上手く機能していることを示しています。

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