他者に理解を示す「知的謙虚さ」とは
知的謙虚さとは、簡単に言えば「自分は間違っているかもしれない」と受け入れられる心の柔軟さのことです。
これは単なる自己否定ではなく、自らの認識の限界を認め、他者から学ぼうとする姿勢を含みます。
しかし、知的謙虚さはこれまでの心理学研究ではあまり注目されてきませんでした。
コミュニケーション能力や共感性といった他の性質や特性が研究される一方で、知的謙虚さが人間関係にどのように作用するかを詳細に検証した研究は数少なかったのです。

そこで今回、イーロン大学(Elon University)の研究チームは、恋愛関係における知的謙虚さの効果を調査することにしました。
彼らは、アメリカ南東部から74組の異性愛カップル(21~61歳)を募集。
調査を行い、まず「知的謙虚さ」を測定する標準化された質問票を用いて、各参加者のスコアを算出しました。
また、「パートナーとどのような問題で対立したか」「その際、自分の感情や行動はどうだったか」といった質問に答えてもらい、それらのデータを詳細に分析しました。
さらに、衝突後の満足度や関係修復の成否も評価し、知的謙虚さとの相関関係を探りました。
こうした実験設計により、知的謙虚さが日常のリアルな人間関係の中でどのように機能しているかを明らかにすることができました。