ラベンダーオイルは豚の鼻の細菌叢を変化させる
商業農場での集中飼育ではしばしば狭い空間に多くの豚が押し込まれ、自然の行動が制限され、屋内での長期間の監禁。
これは彼らにとって非常にストレスの多い生活です。
また豚たちは掘るなどの本能的な行動を取ることができず、その結果としてストレスや攻撃性が高まります。
そこで今回ボローニャ大学の研究者たちは、ラベンダーのエッセンシャルオイル(LaEO)などの植物抽出物がストレス軽減に役立つかどうかを調べることにしました。
以前の研究では、ラベンダーのエッセンシャルオイルを吸入すると、ウサギと人間の両方でストレスが軽減されることが示されています。
もし豚にも同様の効果があるならば、飼育環境での彼らの生活の質を上げることができるでしょう。
調査にあたっては、養豚場で飼育されている84頭の子豚を3つの異なるグループに分けられました。
そして1つ目のグループには1日3回、10分間ラベンダーエッセンシャルオイルが含まれたスプレーが吹きかけられました。第2のグループには同じ頻度で無臭のスプレーが使用され、最後のグループには何も施されませんでした。
この作業は72日間に渡り続けられました。
結果、ラベンダーの香りを吸い込んだ子豚たちは、他の2つのグループと比較して顕著な違いを示しました。
ラベンダーを吸い込んだ豚たちは攻撃性が顕著に減少し、尻尾を噛む行動も少なくなり、一日の大部分をリラックスして横になって過ごすようになりました。
さらに研究ではエッセンシャルオイル、特にラベンダーオイルが、豚の鼻内の微生物叢、つまり鼻に存在する微生物のコミュニティに大きな変化を起こすことが示されています。
具体的には、ラベンダーオイルの影響を受けた豚の鼻の微生物叢の多様性が減少し、通常の豚の鼻では少数勢力である特定の細菌属(テリスポロバクター、ツリシバクター、エアロコッカスなど)を増やすことがわかりました。
この研究の結果は、単にエッセンシャルオイルが心地よい香りを提供するだけでなく、動物の鼻内環境においても重要な役割を果たしていることを示しています。
微生物叢の変化が具体的にどのような影響を動物の健康に与えるかは今後の研究課題ですが、エッセンシャルオイルが微生物叢に及ぼす影響を理解することは、動物福祉や疾病管理の新たな手法を開発する上での一歩となるでしょう。