
・DNAを用いて試験管の中で人工知能を作成することに成功
・実験では試験管の中に投入された数字を読み取り、蛍光反応を示すことが確認された
・研究チームは今回の人工知能に「記憶」をもたせ、より多くの課題ができるように研究を進めている
カリフォルニア工科大学の研究チームは、DNAから新たな人工知能を作成することに成功しました。これは、特定の数値処理を行える人工知能を試験管の中で生成可能にしたもので、人工知能生物とも言えるかもしれません。
https://www.nature.com/articles/s41586-018-0289-6
今回作成した人工知能はDNAニューラルネットワークと呼ばれ、その人工知能に数字を与えると化学反応を起こします。その反応から特定の色光が発せられることで、数字を特定できるというものです。
DNAニューラルネットワークに投入される数字は、10×10の合計100個のマスの中から20個のDNAを並べて形作られます。それが投入されると、DNAニューラルネットワークは9つのカテゴリーの中で分類。その9つのカテゴリーは、それぞれ1から9の数字に該当します。
研究チームは、初めに6と7の数字を判別できるDNAニューラルネットワークを作成しました。研究者は36種類の手書き数字を用いて実験し、全ての数字を判別することに成功。研究者によると、理論的には1万2千種類もの手書き数字を90%の精度で判別することができるそうです。
では、DNAニューラルネットワークの中で行われている反応とは一体どのようなものなのでしょうか。DNAニューラルネットワークには数字の型があり、それと与えられた数字が一致する部分に存在する分子を、ある物質が取り込みます。その際により多く取り込まれた分子が特定の蛍光反応を示し、数字を区別しているのです。例えば、7の数字が投入されると、DNAニューラルネットワークの6と7の型がそれぞれ反応し、7の型でより多くの分子が反応して特定の光を発します。
今回研究チームはDNAニューラルネットワークをさらに発展させ、1から9の数字をそれぞれ区別することに成功しました。例えば、DNAの入った試験管の中に未知の数字が書かれた分子を投入すると、2つの蛍光反応を示して数字を区別します。また、5を投入すると緑と黄色の光を発し、9を投入すると緑と赤色を発するようにして区別しているというわけです。
研究チームは、記憶装置を作成してDNAニューラルネットワークをより発展させたいと考えています。将来私たちのように、身体と脳を持った人工知能が登場するかもしれません。
via: DailyMail / translated & text by ヨッシー
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