2D:4D比とスポーツパフォーマンスとの関係
この2D:4D比、実は胎児期(出産前)に母親の体内から受けるテストステロンなどの男性ホルモンの影響を示す指標として知られています。
胎児期にこれらのホルモンを多く受けると心血管系など持久力に深く関係する諸器官がより発達する可能性がありますが、それと同時に薬指が発達し、2D:4D比が小さくなるというのです。
研究グループも、低テストステロンがエネルギー生成に必要なミトコンドリア機能を損なうなど、いくつかの理由を挙げ、2D:4D比が小さいことと優れた持久力との関係を推察しています。
実際、2D:4D比とスポーツパフォーマンスとの関係を調べた研究は数多く、中には日本の国技である力士を対象とした報告もあります。
こちらの研究では、100人以上の関取(十両以上の力士のこと)の指の長さを調べたところ、2D:4D比が低い、すなわち薬指の方が長い力士は、番付や勝率が高かったことが報告されています。
この結果は、高いパワーが求められる競技においても、指の長さの比率がスポーツパフォーマンスと関係することを示しています。
ただし、前頭よりも上の番付(力士の地位を示す)である小結、関脇、大関、横綱の力士に限って分析したところ、成績との密接な関係は消失していました。
この結果について、この研究者らは、小結以上の昇進の場合、勝ち星の多さのみならず、取り組みの質、対戦力士の番付、稽古中の態度などによっても左右されることを理由の一因として挙げています。
したがって、2D:4D比はある程度の力量を見積もる指標としては有用であっても、個人の努力や成長の可能性を評価するのには適していないのかもしれません。
つまり、薬指があまり長くない力士でも、努力によって番付を上げることが可能だと考えられます。
注意点として、2D:4D比とスポーツパフォーマンスとの関係を調べた研究の中には、ここで紹介したような有意な関係が見られない報告もあります。
また、単純化し過ぎた解釈に疑問を呈する研究者の声もあります。
ただ、研究報告の多さから鑑みても、指の長さに注目する研究者は少なくないようです。
ちなみに、プロサッカー選手を対象とした研究の2D:4D比の平均値は0.96、力士を対象とした研究の平均値は0.95といずれも薬指の方が長くなっています。
多少の正確性は落ちるかもしれませんが、2D:4D比は簡単に確認できる方法です。
自分自身とスポーツや運動が得意な友人の指を見比べてみると、面白い発見が得られるかもしれません。