木造人工衛星「LignoSat」を開発!木材である意味とは?
人工衛星は、ロケットで宇宙に運ぶ必要があるため、軽くて強い材料が使用されます。
そのため通常は、軽量で丈夫なステンレスやチタン、特殊な加工を施す部分にはアルミニウムなど主に金属が採用されます。
しかし、京都大学と住友林業は、これまでの常識を覆し、木材を使って人工衛星を作ることにしました。
彼らが開発した世界初の木造人工衛星は、「LignoSat」と名付けられています。
(「LignoSat」は、「Ligno(ラテン語で木)」と「Stella(ラテン語で星)」からなる造語)
では、なぜ「木材を使った」のでしょうか。
研究チームによると、「人工衛星が役目を終えた際に、木造だと環境に優しい」ためだという。
国際ルールによると、役目を終えた小型の人工衛星は、スペースデブリ(宇宙ゴミ)とならないよう大気圏に再突入させて燃焼させなければいけません。
従来の金属製の衛星だと、その燃焼の際に、アルミナ粒子と呼ばれる微粒子が発生し、これは大気圏内に滞留してしまいます。
現在、世界中で人工衛星を打ち上げる計画がありますが、このアルミナ粒子の滞留が増えると、太陽光を反射するなど地球の気候に悪影響を及ぼしたり、通信を妨げたりする可能性があります。
こうした問題に対処する1つの方法として示されたのが、木材で作られた人工衛星なのです。
木材であれば大気圏に突入しても水蒸気と二酸化炭素にしかならず、地球環境を汚すことはありません。
しかし、実際に木造人工衛星を完成させるまでには、多くの苦労がありました。