性別や年齢によって「独身の満足度」も変わる?
例えば、男性では年齢が上がるにつれて、独身でいることに対する満足度も下がっていく傾向が見られました。
これは周囲の同年代の人々が徐々に結婚していったり、家族や親戚から結婚を急かされたりと、社会的圧力が高まるからだと予想できます。
しかし反対に、女性は34〜40歳になると、独身であることの満足度が高くなる傾向にあったのです。
研究者はこれについて、女性の初婚と出産の一般的なピーク(いずれも平均30歳)を過ぎていることから、周囲からの結婚への期待値が下がったり、子供を授かることに関して急かされるような社会的圧力が少なくなる点と関係している可能性が高いと述べています。
そして外向性が高いと生活全般の満足度も高くなる傾向があり、神経症的傾向が強いと、独身状況および生活全般への満足度も低くなることが示されました。
アビレス氏らは今回の調査について、ドイツ在住の40歳までの男女のみを対象としている点で限界があると指摘します。
そのため、この傾向をはっきりさせていくためには、より幅広い年代と文化圏の男女を含めて、独身でいることへの考えがどう変化しているかを明らかにしていく必要があるでしょう。
ただ最近は、日本でも若者の孤独死の件数が増えているという報告があります。
孤独死とは、誰にも看取られずに死ぬことで、死の事実を周囲に認知されず、死亡後の発見が遅れる状況を指します。
独身でいることの満足感が上昇するというのは、一見ポジティブな話題にも見えます。しかし、独りでいることが常態化すると、いざ辛いときに助けを求めづらい状況になり、死んだとしても誰にも気づかれないという状況も発生しやすくなります。
若者の孤独死が増えているという問題は、今回の研究で示されたような独り見でいる方が幸福と感じる人が2000年代以降の世代に多いことと関連しているかもしれません。
若い人たちが自然死することは稀なため、孤独死の問題は、この世代の年齢が上がっていくとより顕著になっていく可能性があります。
結婚や交際を積極的にする人が減っている現代、それ以外の方法で毎日会話する相手を作る仕組みが社会に必要なのかもしれません。