蚊を引き寄せる原因は「人間のヒト皮膚細菌」
蚊が近くを飛ぶときの「プーン」という耳障りな音、刺された後にしばらく続くかゆみは、私たちをイライラさせます。
さらに蚊は、マラリアやデング熱、黄熱病など、多くの致命的な病気を媒介します。
そんな「厄介な敵」である蚊は、私たちが吐き出す二酸化炭素、体温、そして皮膚細菌叢に引き寄せられ、血を吸います。
そのうち二酸化炭素と体温は、蚊を人間がいる方向へと誘導します。
しかし、蚊が人間の存在を把握できたからといって、それがすぐに吸血に結びつくわけではありません。
吸血可能な部位である皮膚に蚊を導くのは、人間の皮膚細菌叢なのです。
人間の皮膚には約1000種類もの微生物が存在しており、様々な役割を果たしています。
特にブドウ球菌属(学名:Staphylococcus)とコリネバクテリウム属(学名:Corynebacterium)は人間の皮膚に最も多く存在する細菌種の1つであり、ヒト皮膚細菌叢の45~80%を占めています。
そしてこれらのうちのStaphylococcus epidermidisとCorynebacterium amycolatumは、蚊を引き寄せることで知られる乳酸の一種「L-(+)-lactic acid」とそれが発する匂いを生成すると考えられています。
つまりこれらの皮膚細菌が乳酸を生成しなければ、私たちは蚊に襲われない可能性があります。
アクバリ氏ら研究チームは、この分野に焦点を当て、新たな蚊よけ方法を開発しました。