獲物の体内で槍先が折れて「大ダメージ」を与えた可能性
チームはクローヴィス・ポイントを使用した当時の槍のレプリカを作成し、大型動物が突進してきた際の模擬的な力を加えて、槍先にどんな変化が起きるかを検証。
実験では、槍先を地面に静止させた状態で、11.34キロの錘(おもり)を35cm上から自由落下させました。
(実際の使い方は槍のお尻の方を地面に固定して、槍先を程よい角度で獲物の方に向けていた)
ハイスピードカメラで槍先を撮影した結果、クローヴィス・ポイントは獲物の皮膚を貫通し、中で折れて体内に残る可能性が高いことが示されました。
研究者によると、これは「ホローポイント弾の機能に似ている」といいます。
ホローポイント弾とは、中央が空洞(ホロー)になっており、先端(ポイント)が平たくなった銃の弾丸のことです。
これが対象に着弾すると、弾頭が開くように広がることで、弾は貫通せず対象の体内を動き回り内臓を損傷させるという殺傷能力の高さが知られています。
おそらく、クローヴィス・ポイントも獲物の体内に残ることで、槍を投げたりするよりも大ダメージを与えられた可能性が高いといいます。
実際にマンモスの骨格の中からクローヴィス・ポイントが見つかっているのは、パイクが使われていた証拠かもしれません。
以上の結果から、クローヴィス文化の狩人たちが本当にパイク戦法を使っていたと断言することはできませんが、仮説としての説得力は高まりました。
チームは今後数カ月のうちに、マンモスのレプリカを作って、より実際の状況に近いシチュエーションでパイク戦法が実用的だったかを検証する予定です。
もしこの仮説が立証されれば、パイク戦法を最初に発明したのはクローヴィス文化の狩人たちだったということになるでしょう。