槍を投げてもマンモスには刺さらない?
今から約1万3000年前に北米を中心に栄えた文化を「クローヴィス文化」と呼びます。
その時代の遺跡からは先端が鋭く研磨された独特な石器が何千個も発掘されてきました。
「クローヴィス・ポイント(Clovis point)」です。
クローヴィス・ポイントは大人の親指サイズからiPhone大のサイズまであり、先端はカミソリのように鋭く尖っており、底部には長方形の窪みが見られます。
この窪みに骨か木の棒が取り付けられていました。
中にはマンモスの骨格の中から見つかるケースもあり、当時の狩人たちがクローヴィス・ポイントを使って大型動物を狩猟していたことは間違いありません。
ただ問題は「クローヴィス・ポイントをどのように使って大型動物を倒していたのか」ということです。
昔からよく言われているのは、腕の立つ狩人たちが槍を投げてマンモスに突き刺していたというものでしょう。
皆さんも歴史の教科書や再現VTRなどで、そうした槍投げの姿を散々見せられてきたはずです。
しかし研究者らの冷静な見解によると、「人間にはマンモスの分厚い皮を貫くほど十分な速度と勢いで、槍を投げる肩の力がないので、これは極めて非現実的な戦略だったでしょう」と話します。
確実に大型動物を仕留めるには、まったく別の手法に頼らなければなりません。
そこで研究チームが最も可能性の高い戦略として主張するのが「パイク(pike)」です。