たまに車の中に入り込んでいる、うっとうしい虫。この時期は特に増えますね。
私達は車の中で浮かぶことはありませんが、車の中で飛んでいる虫は、果たして車と同じスピードで走っているのでしょうか?その疑問に、The Convasationが答えています。
人が車に乗ってる時に、一緒に車に乗って飛んでいる虫を想像してみてください。車が動き始めると、座席に掛かる力があなたを前へと動かします。この力は、車が加速している間だけ必要です。一度車が安定したスピードに乗ると、押す力は必要なくなります。道がなだらかであれば、風景が流れているのを見ない限り自分が動いてることがわかりません。
例えば車内でボールを上に放り投げると、ボールは上昇した後落ちてきます。あなたの視点から見たボールの動きは、車が全く動いていない時と違いがありません。ボールは車においていかれることは無いのです。
これはつまり、車の中にあるすべてのもの、あなたとボールと虫が同じスピードで加速したということです。
それでは、実際にやってみましょう。手近なものに紐をくくりつけて、小さな振り子を作ってみてください。車が加速している間、振り子がななめでぶら下がり、物体を加速させるように紐が引っ張っているのが分かるでしょう。しかし、車の速度が一定になると、まっすぐ下にぶら下がり、まるで車が止まっている時のようになります。車が一定速度だと、紐は物体を引っ張る必要がなくなるのです。
では、虫に戻ります。虫が飛び込んできてあなたの隣の席に着地したところを思い浮かべましょう。座席が虫を前へと引っ張ります。この引っ張る力は、虫と座席の間にある摩擦力です。この力は車が加速すると同じように加速します。しかし、いったん車が一定の安定したスピードに達すると、虫は引っ張られる必要がなくなり、車が動いているのかわからなくなります。虫は家の部屋にいるかのように、飛び回ることができます。車についていくために速いスピードで前方に飛ぶ必要はないのです。振り子と一緒で、前方に押したり引っ張ったりする力は必要なくなります。とはいえ、落ちないために羽ばたく必要はありますが。
では、虫が車内で着地せずに飛んでいたらどうなるのでしょうか。その場合、車がスピードを上げるのにともなって、虫は前方へと少し加速して飛ばなければなりません。でも、車外で車についていこうとする場合に必要なスピードほど、速く飛ぶ必要はありません。それは、虫がとても軽いので、空気による影響を大きく受けるからです。車内の空気は、車によって前方へと押し出され、その空気が虫を前方へと押します。この押す力は空気抵抗と呼ばれています。この押す力は、蚊には十分ですが、カナブンには不十分です。
よって、カナブンがあなたの鼻先にとどまっていたい場合は、車が加速するのに合せて少し前方へと飛ぶ必要があります。しかし車が一定速度で走っている場合は、浮き上がるために羽ばたくだけでいい、というわけです。
via:The Conversation/ translated & text by SENPAI