息を止め続けることができないのはなぜ?
人は、何らかの理由で呼吸ができなくなると、数分で意識が無くなります。
そして10分後には脳に障害が起こり、15分過ぎると脳死状態になり、死亡率も100%になると言われています。
このような窒息死の多くは、異物が気道に詰まったり、水の中で溺れたりなど、強制的に呼吸ができない状態が続いた場合に生じます。
一方で、私たちは自分で意識して息を止めることも可能ですが、基本的には数分も続かず、自力で気絶することはできません。
ではどうして、私たちは息を自らの意思で止め続けることができないのでしょうか。
それは、私たちの体には、命を守るための様々な安全システムが備わっているからです。
例えば、身体に有害な物を食べてしまうと、私たちは危険信号として「吐き気」を催します。
そして実際に胃や身体が、私たちの意思に反して内容物を逆流させようと働き、嘔吐へ繋がります。
また寒気や震えも同様です。
私たちの体温が低下すると、その警告信号として、私たちは「寒気」を覚え、いてもたってもいられなくなります。
同時に、体は震えて熱を作り出し、体温を保とうとします。これも私たちの意思とは無関係に生じる体の強制的な動きです。
そしてこのような安全システムが作動するのは、呼吸を止めた時も同様です。
息を止め続けていると、「息苦しさ」を感じますが、これは脳が危険を回避するために発する「感覚」であり「警告信号」です。
さらに脳は、肺の周りの筋肉に呼吸をするよう信号を送り、私たちの意思とは関係のないところで、強制的に呼吸を生じさせます。
つまり、私たちが嘔吐や震えを我慢できないのと同じように、呼吸もまた止め続けることはできないのです。
では、実際に息苦しくなって、思わず呼吸してしまう時、私たちの身体の安全システムはどのように働いているのでしょうか。