賢いタコは魚たちと協力して獲物を狩っていた
タコには、イヌと同程度の約5億個もの神経細胞が備わっており、無脊椎動物の中では群を抜いて知能が高い存在です。
しかし、イヌとは異なり、社会性のない生物だと考えられてきました。
タコは、仲間と接触しようとせず、単独で行動することが多いのです。
しかし、タコの社会性に関する過去の研究を調べてみると、いつも単独で行動しているわけでもないようです。
例えば、エルサレム・ヘブライ大学(Hebrew University of Jerusalem)の1985年の研究では、タコが他の魚と一緒に狩りをする様子が報告されています。
ただ多くの専門家はこれを「協力」とまでは呼べず、他の生物が行った狩りのおこぼれを「つまみ食い」する程度の出来事だと考えてきました。
しかし今回、サンパイオ氏らの研究により、タコの一種であるワモンダコ(学名:Octopus cyanea)が、魚たちと役割分担して、1つの組織として協力しながら狩りをしていることを発見しました。
この研究にあたって、研究チームは、紅海で120時間潜水し、特別に設計された広角カメラで動画を記録し、タコの狩りを13回追跡。
結果その間に、「ハタ」や「ヒメジ」などサンゴ礁に生息するいくつかの魚の群れが1匹のタコに2~10匹協力していることを発見しました。
また、これらタコや魚は、それぞれが自分の役割を持っており、タコが「鬼軍曹」のように高圧的に振る舞っていることも分かりました。
(次項では、タコ軍曹が魚たちを殴っている動画を紹介します。)