恥ずかしさが及ぼす悪影響
私たちは、自分の外見を恥ずかしいと感じたり、逆に誇らしいと感じたりします。
そしてその感情は、私たちの行動に大きな影響を及ぼすことでしょう。
例えば、自分の外見を恥ずかしいと思っている人は、人前に出ることを嫌い、外出の頻度が減るはずです。
逆に、自分の外見に自信が持てれば、人前に出ることを好み、外出の頻度が増えることでしょう。
では、「恥ずかしさ」や「誇らしさ」が、人の行動だけでなく、その人の能力や成果に影響を及ぼすことはあるのでしょうか。
その可能性は大いにあります。
1998年に行われたミシガン大学(University of Michigan)の研究では、衣服による「恥ずかしさ」で、学業のパフォーマンスにどのような影響が出るのか調査しました。
その研究では、水着を着た女性は、セーターを着た女性と比較して、羞恥心レベルが高く、数学の成績が悪いと判明しました。
この結果は容易に納得できるものです。
自分だけ水着で数学のテストを受けるという、恥ずかしくて逃げだしたくなるような状況では、テストに集中しづらく、ベストな成績を残せるわけがないのです。
では衣服ではなく自分の体に対するネガティブなイメージを持っている場合は、どうなるでしょうか。
確かに私たちは、自分の体を恥ずかしく感じることがあります。
鏡を見るたびに、自分の体型にがっかりしている人は、そうでない人に比べて能力や成果に何らかの影響が出るのでしょうか。
また、学業以外の分野でも、このようなネガティブな影響は出るものなのでしょうか。
今回、カナダのトロント大学に所属するジュディス・ベック氏ら研究チームは、自分の体を恥ずかしいと感じることが運動課題にどのような影響をもたらすのか調査しました。