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Credit: canva
geoscience

「最悪3年で北極の氷が消える…」衝撃のシミュレーション結果

2024.12.09 07:00:08 Monday

「北極の氷は最短だと2027年には溶けて無くなってしまう…」

そんな恐るべきシミュレーション結果が米コロラド大学ボルダー校(CU-Boulder)とスウェーデン・ヨーテボリ大学(University of Gothenburg)の気候学者により報告されました。

以前から、急速に進展する温暖化のせいで北極の海氷面積がどんどん小さくなっていることが知られていました。

しかし「北極の氷が実質的に消失する」というXデーは意外に近いのかもしれません。

その場合、北極に暮らすホッキョクグマたちはどうなってしまうのでしょうか?

研究の詳細は2024年12月3日付で科学雑誌『Nature Communications』に掲載されています。

Countdown to an ice-free Arctic: New research warns of accelerated timelines https://www.colorado.edu/today/2024/12/03/countdown-ice-free-arctic-new-research-warns-accelerated-timelines ‘Ominous milestone for the planet’: Arctic Ocean’s 1st ice-free day could be just 3 years away, alarming study finds https://www.livescience.com/planet-earth/arctic/ominous-milestone-for-the-planet-arctic-oceans-1st-ice-free-day-could-be-just-3-years-away-alarming-study-finds
The first ice-free day in the Arctic Ocean could occur before 2030 https://doi.org/10.1038/s41467-024-54508-3

最短で3年以内に北極の氷が消える⁈

北極の海氷は常に一定の大きさを保っているわけではありません。

年間の季節変動を通じて、自然に縮小と増大を繰り返しています。

ただし北極における海氷面積の平均値は、温暖化がどれだけ進んでいるかを示す指標となっており、1978年11月以来ずっとモニタリングされています。

そして海氷面積の平均値は、追跡開始時から今に至るまで明らかに減少の一途を辿っているのです。

例えば、国立雪氷データセンター(NSIDC)によると、1979年〜1992年の平均面積は685万平方キロメートルでしたが、2024年9月11日には428万平方キロメートルと著しく小さくなっています。

この数値は1978年以来の観測の中で最も低いものの一つでした。

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北極の氷がどんどん無くなっている/ Credit: canva

このまま温暖化が進んでいくと、いずれは北極の氷が無くなるという事態が起きかねません。

研究者たちは、北極から氷が消失する日を指して「アイスフリー・デイ(Ice-Free Day)」と呼んでいます。

ここで注意すべき点として、アイスフリー・デイとは北極から全ての氷が完全に無くなること(氷がゼロになること)を意味するわけではありません。

気象学的な見方からすると、アイスフリー・デイは「北極の海氷が全部で100万平方キロメートル未満になった場合」と定義されるといいます。

そこで研究チームは今回、大規模な気象データをコンピューターモデルを駆使して、アイスフリー・デイが北極に訪れる日はいつになるかを初めてシミュレーションしました。

ここでは11種類の気候モデルを用いて、北極における2023年〜2100年までの気候変動のシミュレーションを合計で366回試行しています。

その結果、北極に初めてのアイスフリー・デイが訪れる日は予測値に幅があることが示されました。

しかしシミュレーションの大半は7年〜20年以内というかなり短いスパンでアイスフリー・デイが来ると試算しています。

最も日和見的な予測値ですと、2100年になってもアイスフリー・デイは来ないと回答していました。

ところが全シミュレーションのうち9つは、非常にシビアな予測値を弾き出しています。

それらによると、北極最初のアイスフリー・デイは3〜6年に起こると予測していたのです。

これは最短で2027年には北極の海氷面積が100万平方キロメートルを切ってしまうことを意味します。

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アイスフリー・デイは氷が全くのゼロになることを意味しない/ Credit: canva

3年でアイスフリー・デイが起こるシナリオでは、2025年から例年に比べて異常に温かいシーズンが続くことを原因とし、そのパターンが3年連続で続くと、3年目(2027年)の9月までには北極の海氷面積が100万平方キロメートルを切ると試算されました。

それからこの9つのシミュレーションでは、アイスフリー・デイが起こった後は約11日〜53日の間、気象学的に氷のない状態が維持されると推定されています。

では、アイスフリー・デイが起こってしまうと、北極を代表するホッキョクグマはどうなってしまうのでしょうか?

次ページホッキョクグマは「絶滅」か「ハイブリッド」の道を進むだろう

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