チーターのサイズは速く走るのにぴったり
インペリアル・カレッジ・ロンドン(ICL)の2024年の研究では、チーターのような中型動物が最も速く走れる理由を分析しています。
動物界では、強さや手足の長さ、寿命、脳の大きさなどの特性は、動物のサイズに応じて増加する傾向にあります。
しかし、最高速度は中型動物で最も大きくなる傾向があるのです。
この研究に携わったデイビッド・ラボンテ氏は、次のように語っています。
「最も速い動物は大きなゾウでも小さなアリでもなく、チーターのような中間の大きさの動物です。
なぜ走るスピードは、動物の解剖学や行動のほとんどの面に見られる規則的なパターンから外れているのでしょうか」
この点を解明するため、ラボンデ氏の研究では、最高速度と筋肉の関係に焦点を当てています。
そして研究の結果、動物の最高速度は筋肉が「どれだけ素早く収縮できるか」「どれくらい収縮しているか」といった2つの限界によって決まると分かりました。
前者は、小さな動物であるほど有利です。
例えばネズミは筋肉を素早く収縮させられるため、小刻みに速く動くことができます。
一方後者は、大きな動物であるほど有利です。
「筋肉がどれだけ収縮できるか」とは「筋肉の収縮距離の大きさ」のことです。
筋肉をゴムバンドで例えると、「ゴムバンドがどれだけ伸縮するか」と考えることができます。
大型動物は筋肉が大きいため、収縮距離も大きく、足の1回転でより長い距離を前進できます。
そして研究では、この2つの要素のどちらかが先に限界に到達すると、そのラインがその動物の最高速度の限界になると分かりました。
つまり、小型動物は小さな筋肉しか持たないことですぐに最高速度の限界に達し、大型動物も筋肉の収縮速度が遅いことで、すぐに最高速度の限界に達するのです。
だからこそ、両方の特徴を程よく持つ中型動物が、一番大きな最高速度を有します。
研究チームも、「チーターくらいのサイズの動物は、2つの限界が一致する約50kgの物理的なスイートスポットに位置します」と述べており、これがチーターが速く走れる理由の1つだと分かります。
チーターは、他の動物たちとは別格の速さを持っています。
それは、チーターの独特な走り方や、走るのに適切なサイズであることが関係しているのです。