ホッキョクグマの凍らない油はスキー板から航空宇宙産業まで役に立つ
今回の研究は、ホッキョクグマの毛皮を模倣した新しい防氷・着氷防止技術につながる可能性があります。
現在、防氷の目的で使われる長期持続性フルオロカーボンなどの化学物質は、環境への影響が懸念されています。
そこで、ホッキョクグマの皮脂成分やその働きを参考に、より安全で環境に優しいコーティング剤やワックスを開発しようというアイデアが生まれているのです。
スキー板だけでなく、航空機の翼や風力発電のブレードなど、氷結が大きな課題となる分野は多岐にわたります。
特に北極圏や高所、冬場の空港などでは、航空機の着氷防止に大量の薬剤が使われており、環境負荷の低減が求められています。
ホッキョクグマの油に着想を得た技術が実用化されれば、こうした課題の解決に一役買うかもしれません。
さらにユニークな発想として、ホッキョクグマの皮脂を参考にした「ヘアワックス」を提案する研究者もいます。
極寒の地域で屋外作業をする人々にとって、髪の毛が濡れた状態でいると凍ってしまうリスクがありますが、それを防ぐ用途が考えられるのです。
もっとも、実際に商品化されるかは未知数ですが、自然界の巧妙な仕組みが私たちの生活に新たな選択肢を与える可能性は十分にあるでしょう。