人間に当たっても大丈夫なブラックホールのサイズや重さを調べた研究が発表
人間に当たっても大丈夫なブラックホールのサイズや重さを調べた研究が発表 / Credit:Canva
physics

人間に当たっても大丈夫なブラックホールのサイズや重さを調べた研究が発表 (2/2)

2025.02.19 17:00:12 Wednesday

前ページブラックホールを使った殺傷方法を考える

<

1

2

>

ブラックホールが人間に命中する確率

人間に当たっても大丈夫なブラックホールのサイズや重さを調べた研究が発表
人間に当たっても大丈夫なブラックホールのサイズや重さを調べた研究が発表 / Credit:Canva

ここまで見てきたように、「小さなブラックホールでも、ある程度の質量があれば人を殺傷しうる」という衝撃的な結論が理論上は導かれています。

では、そんなブラックホールが本当に私たちの日常に降ってくる可能性はどれくらいあるのでしょうか?

論文の試算によると、人体を致命的に破壊するほどの質量を持つ原始ブラックホールは、もし存在しても非常に数が少なく、宇宙全体から見てもごく稀な存在だと考えられます。

そのため、仮に地球近傍を通過したとしても、たまたま人間の身体を正確に突き抜ける事態が起こる確率は1年あたり 10のマイナス18乗といった極端に小さい値になると示唆されています。

サマージャンボ宝くじの1等が当たる確率が10のマイナス7乗(1000万分の1)レベルであることを考えると、この数値は宝くじの高額当選よりはるかに低いレベルの可能性となります。

そういう意味では、原始ブラックホールと遭遇する心配をする必要はないと言えるでしょう。

ですがSFでしか語られなかった小さなブラックホールの衝突と人体への被害を本気で数式化した点において、本研究は意味あるものと言えます。

壮大な視点から、「あり得ないかもしれないけれど、もし本当に起こったら?」を考えることが、科学の醍醐味なのかもしれません。

<

1

2

>

人間に当たっても大丈夫なブラックホールのサイズや重さを調べた研究が発表 (2/2)のコメント

ゲスト

衝撃や潮汐力以外にも、ブラックホールから放射されるホーキング放射によって人体を焼いたり、ホーキング放射のガンマ線や粒子線によって遺伝子を破壊したりする事によって人を殺傷する事も考えられます。
 ホーキング放射は質量が小さいブラックホールほど強くなります。
 例えば質量がたった1グラムのブラックホールは、一瞬の間に長崎型原爆と同程度のエネルギーを放射します。
 脳などの重要な臓器の内部でTNT爆薬100グラムに相当する爆発が起きれば人を殺傷するには十分過ぎる事でしょうから、そう考えると人を殺傷し得るブラックホールの最小質量は1億分の1グラムよりも小さいものになると思われます。

ゲスト

ブラックホール発射するエネルギーの余波で人死にそう

ゲスト

ブラックホールの寿命(英Wiki、ホーキング放射)
 (8.4*10^-17)*((質量kg)^3)  秒

1億分の1グラム=10^-11kgを代入すると、発生から蒸発まで 8*10^-50秒

>なんらかの物理的意味を持ちうる最小の時間単位
であるプランク時間 5.4*10^-44秒
(これはプランク質量 2.2*10^-8kg
を上の式に(定数5120π分を除いて)代入した値でもある)

同プランクの長さ 1.6*10^-35m
(陽子の大きさは10^-15m程度)
上の寿命中に光の速度で移動して10^-41m

つまり10万〜100万分の1グラム程度以下のブラックホールは存在しない(少なくとも普通の扱いは出来ない)ということなのではないか

ゲスト

ブラックホールには近くにある物質すべてを吸収して無限に大きく重くなっていくイメージだった。

ゲスト

1e-18かぁ…人類の歴史と人口を考慮すると1人くらいと思ったけど厳しいな
動物や微生物も併せると事象の地平線の向こう側に行った存在がいるかもれないね

コメントを書く

※コメントは管理者の確認後に表示されます。

人気記事ランキング

  • TODAY
  • WEEK
  • MONTH

Amazonお買い得品ランキング

スマホ用品

物理学のニュースphysics news

もっと見る

役立つ科学情報

注目の科学ニュースpick up !!