なぜ洞窟魚はウロコや目を失うのか?

コイ科のシノシクロケイルス(Sinocyclocheilus:金線䰾)属は、中国南部のカルスト地形の洞窟に生息する洞窟魚のグループです。
この属にはこれまでに約80種類が知られており、そのほぼ全種が洞窟内部かその周辺に生息しています。
またシノシクロケイルス属のほとんどは、ウロコがない・色素が薄い・目が小さいか消えているといった洞窟環境ならではの適応を示しています。
光の差さない洞窟内ではものを見ることができないので、目がどんどん退化していき、体の色素も薄くなっていきます。
それから洞窟内では捕食圧が低くなるため、自らの身を守るウロコも徐々に消失していきます。
それよりもむしろ、ウロコをなくして柔軟な体を手に入れることで、洞窟内の狭い岩場などをすり抜けることが可能になります。
加えて、洞窟内は低酸素環境になるため、ウロコをなくすことで、皮膚からの直接的な酸素吸収率を高めるのにも役立ちます。
そして新たに見つかった新種のシノシクロケイルス属もまた、中国南西部の貴州省・興仁(こうじん)市にある洞窟内部に生息していました。
ところが、他のシノシクロケイルス属とは一風変わった見た目をしていたのです。