なぜ本編前の広告が長くなるのか?インドでは罰金処分も
本編前の広告が長くなった理由はいくつか考えられます。
例えば、上映時間の調整や他作品を見てもらうためのアピールなどがあります。
そして一番大きいのは、映画館の経済的な事情でしょう。
特にパンデミック後、多くの映画館は観客動員数の低下に直面しました。
サブスクリプション型のストリーミングサービスが普及し、映画館に足を運ぶ人々が減少する中、映画館は新たな収益源を求めて広告の時間を延ばすことで広告主からの収益を増やそうとしています。

しかし、私たちが感じているように、この戦略が逆効果になっている可能性も指摘されています。
観客のフラストレーションが高まり、映画館離れが加速するリスクがあるからです。
SNSや映画ファンのコミュニティでは、「もう映画館で観るのがバカらしくなった」「広告を避けるために、わざと上映時間の20分後に入るようにしている」といった声が多く見られます。
特に高額なチケット代を払っている観客は、「高いお金を払っているのに、なぜ広告を見なくちゃいけないの?」と不満を感じてしまいます。
また、2025年2月にはインド最大の映画館チェーン「PVR-INOX」が政府から罰金処分を受けたことも話題となりました。
この映画館チェーンでは、上映開始時刻と実際の映画開始時刻が30分以上ずれていたことが問題視され、観客にとって「詐欺的な体験」になっていると批判されたのです。
では、今後映画館の広告はどうなるのでしょうか。
一部の映画館では、昔から広告の時間を変えないようにしています。
また、映画館に来る客の満足度を優先する方針へと転換することで、リピーターを増やす戦略を取る劇場も出てきました。
映画館は、短期的な広告収益を優先するか、それとも長期的な観客満足度を重視するかの岐路に立たされているのです。