超新星爆発が「2度の大量絶滅」を引き金になっていた可能性
オルドビス紀とデボン紀の大量絶滅はこれまで気候変動や火山活動が原因と考えられていましたが、今回の研究では、超新星爆発がオゾン層の破壊を引き起こした可能性があると判明しています。
研究チームは、太陽から1キロパーセク(約3260光年)以内にある大質量星(OB型星)の分布を調査し、過去の超新星爆発の発生率を算出しました。
OB型星は寿命が短いため、その数を調査することで、超新星爆発の頻度を推定することができます。
調査の結果、この範囲内には2万4706個のOB型星が存在し、天の川銀河全体での超新星発生率が100万年あたり15〜30回であることが分かりました。
さらに地球に影響を与えるには、超新星爆発が65光年以内で起こる必要があります。
この条件を満たす超新星の発生頻度を計算したところ、10億年あたり2.5回の割合で近傍超新星爆発が発生していることが明らかになりました。
そして、この頻度はオルドビス紀後期とデボン紀後期の大量絶滅とタイミングが一致しており、超新星爆発が生物の絶滅に関与した可能性を強く示唆されたのです。

これまで、隕石衝突が恐竜絶滅の主な原因とされてきたように、大量絶滅の原因として「宇宙からの脅威」は十分に研究されてきました。
しかし今回の研究は、超新星爆発という新たな視点から地球環境の変動を説明しようとするものであり、宇宙と生命の関係をより深く理解する手がかりとなります。
幸いなことに、現在のところ地球近傍には超新星爆発の危険がある星は存在していません。
ただし、宇宙は常に変化しており、今後数百万年の間に新たな超新星爆発が発生する可能性はゼロではありません。
今回の研究は、地球と宇宙の関係を知る上で重要な一歩であり、今後のさらなる研究が期待されます。