咳は我慢できるのに、くしゃみは難しい理由
くしゃみと咳の大きな違いは、そのコントロールのしやすさです。
例えば、人前で咳を控えようとすると、ある程度は抑えられます。
しかし、くしゃみはほぼ完全に反射で起こるため、意識的に止めるのはかなり難しい行為です。
異物が鼻粘膜を刺激すると、脳が即座に反応し、瞬間的にくしゃみを引き起こします。
一方、咳は気道や肺に侵入した異物を押し出すための仕組みで、基本的には反射で起こりますが、大脳皮質も関与するため、ある程度意識的に調整することができます。
これは呼吸やまばたきが、普段は無意識で行っているものの意識的に制御できるのと同じ原理です。
では、なぜくしゃみと咳は異なる仕組みで作動し、それぞれの反応が異なるのでしょうか?
くしゃみも咳も反射で起きるのは、異物を吸い込んでしまったときです。
しかし、咳の場合はくしゃみと異なり、瞬間的な役割だけでなく、気道をクリアに保つという持続的な役割があります。
気道は呼吸を担う重要な場所のため、気管が狭まったり痰が絡むなど、異物が侵入する以外でも常に空気の流れを確保する必要があるのです。
こうした役割は単純な反射だけでは果たすことができません。このためには意識的にコントロールして咳をする必要があるのです。
気道内の刺激は迷走神経を通じて咳中枢に伝わりますが、ここでは大脳皮質も関与しています。
そのため、咳はくしゃみとは異なり、必要に応じて強さや回数を調整できる柔軟なシステムになったのです。
コミュニケーション手段としての進化した咳

このように意思でコントロールできることから、咳はやがて人間社会においてはコミュニケーション手段として進化していくことになります。
気まずくなって咳払いをしたり、自分の存在をさり気なく知らせる手段として咳を利用するなど、言葉では主張しづらい場面を咳で誤魔化すといった使い方は、咳の反射とコントロールのどちらでも出せるという側面から自然と発生した使い方だと言えるでしょう。
また、人間の心理状態を反映するという側面も咳は持つようになりました。
プレゼンなど前に咳払いをするという人は多いと思いますが、人間の自律神経系はストレスを受けると交感神経が活性化します。緊張などで交感神経が優位になると、呼吸が浅くなったり、気道が狭まるため咳が出やすくなるのです。
なんども咳払いしながらスピーチしている人を見ると、緊張しているんだなとわかりますが、人間社会では咳にはそうした心理的なサインの側面も持つようになったのです。
くしゃみと同じような機能を持ちながら、意識的に操作できることから人間社会の中では、別の役割も持つようになった咳。
そうしたことを考えると、人間の体の機能とは面白いものですね。
鼻毛をいじって無理やり出すのが私のジャスティス。