ビッグバンもホワイトホール? 入れ子宇宙の可能性

一つの考え方として、ビッグバンがホワイトホールである、あるいは「私たちの宇宙はホワイトホール的な振る舞いをしている」という仮説があります。
ブラックホールがすべてをのみ込む“入り口”とされる一方、ホワイトホールは理論上“何もかもを吐き出す出口”のような性質を持つため、「ビッグバンもホワイトホールのような振る舞いをしたのでは?」という着想が昔から検討されてきました。
たとえば「ブラックホールの内部が何らかのプロセスを経て別の時空に“出口”を形成し、そこでビッグバンのような爆発的な拡張が起こる」というシナリオなどです。
このアイデアをさらに発展させれば、「私たちがブラックホールの内部に住んでいる」という大胆な可能性にもつながります。
ブラックホールの内部では外部とは切り離された時空が広がりうるため、そこが新たな“独立した宇宙”のように振る舞うかもしれない、というわけです。
もっとも、これを実証する手段は現在のところ乏しく、科学的に確立された結論からはまだ遠いと言えます。
しかしながら、今後の量子重力研究や観測の進展により、こうした大胆な発想が新たな形で検証される可能性も否定できません。
ある宇宙は別の宇宙のブラックホールの中にある、というような入れ子構造がもし存在するのだとすれば、私たちが外の世界に気付く日も、いつか訪れるのかもしれません。
ブラックホールを抜けるとそこは雪国だった…みたいなことが起きるかもしれないと。