エミュー、オーストラリアを代表する鳥である
エミュー、オーストラリアを代表する鳥である / credit:pixabay
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歴史上最も奇妙な戦争!エミューとオーストラリア軍の戦い (2/3)

2025.04.06 17:00:20 Sunday

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逃げ足の速いエミューに歴戦の猛者も苦戦

国防大臣のジョージ・ピアース卿、後にエミュー戦争大臣と呼ばれるようになった
国防大臣のジョージ・ピアース卿、後にエミュー戦争大臣と呼ばれるようになった / credit:wikimedia Commons

農民たちの悲哀に対する政府の応えは、決断的かつ劇的なものでした。

1932年11月、経済的苦境に立たされた農家の嘆願に応え、国防大臣ジョージ・ピアース卿は、かつての戦場で鍛えられたオーストラリア陸軍の一部隊を派遣する決定を下します。

指揮を執ったのは、G・P・W・メレディス少佐。

彼は、最新の軽機関銃と1万発にのぼる弾薬を手に、エミュー駆除作戦に挑むため、兵士たちを率いました。

これほどの武力をもってすれば、いかなる敵もひとたまりもありません。

まして敵はあのエミュー。

今でこそ研究が進み、エミューの意外な知性にもスポットライトが当たりつつあるものの、当時は研究がほとんど進んでいなかったこともあり、「世界で最も愚かな鳥」とまで言われていました。

「世界で最も愚かな鳥」と呼ばれるエミュー、実は賢いと判明

しかし、予想とは裏腹に、出動初日から戦場は混沌と化したのです。

駆除作戦が行われた時、雨季の影響で大地は乾いておらず、エミューたちは広大な農地を巧みに分散しながら移動していました。

待ち伏せ作戦が試みられるも、予期せぬエミューの俊敏な動きにより、狙撃は思うような成果を上げられなかったのです。

兵士たちは的を絞りにくい相手に次々と弾丸を放ったものの、その効果は限定的でした。

まるで、機関銃の連射すらもエミューの機敏なステップに太刀打ちできず、ただ弾薬だけが無駄に消費される始末だったのです。

次第に、戦況は露骨な失策へと転じます。

オーストラリア軍は、短期間で数羽のエミューを仕留めるに留まり、期待されていた「大掃討作戦」は、まさに自然の猛威に屈する形となりました

こうした戦闘の開始は、当初の兵士たちの自信を打ち砕くと同時に、後に「エミュー戦争」として語り継がれる、奇妙な戦局の幕開けを告げたのです。

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