日本の植物がHIVの増殖を止める?
HIV感染症は1980年代に登場して以来、世界中で数千万人の命に関わってきた重大なウイルス感染症です。
現在では、抗HIV薬によって症状の進行を抑えることができるようになりましたが、ウイルスを完全に体内から排除することは今も困難です。
そのため、生涯にわたって薬を飲み続ける必要がある人が世界に多数存在します。
そんな中で、天然の植物からHIVを抑える新しい成分が見つかったというニュースは、とても注目すべきものです。
そのスーパーパワーを持つ植物はなんと奇遇なことに、日本に自生している「オニシバリ」でした。

オニシバリは、世界に53属800種以上が知られている「ジンチョウゲ科」というグループに属します。
オニシバリ(学名:Daphne pseudomezereum)は、別名ナツボウズ(夏坊主)とも呼ばれ、日本や中国、韓国に分布するジンチョウゲ科の落葉低木です。
ナツボウズという別名は、夏になるとオニシバリが一時落葉することに由来します。
実は、これまでにもジンチョウゲ科の植物には、抗がん作用や鎮痛作用など様々な生物活性があることが知られていました。
しかし、今回のように「日本に自生するオニシバリの果実」から抗HIV作用が確認されたのは初めてのことです。