首で戦うキリンたちの「ネッキング」とは
キリンは地上で最も背の高い動物であり、成獣の平均体高は4〜6メートルに達します。
その中でも際立って目立つのが約2〜2.4メートルにもなる長い首です。
この長い首は高所の葉を食べるためのものだと考えられてますが、実は、もう一つの重要な役割を持っています。
それが「武器としての利用」です。
オスのキリンは、繁殖期になると交尾権をかけて他のオスと戦います。

その際に行われるのが「ネッキング(necking)」と呼ばれる行動です。
これは一方のキリンが首を大きく振り、首や頭部を鞭のようにしならせて相手の胴体や首に叩きつけるという戦いです。
低強度のネッキングでは、体をこすり合わせたり、寄りかかったりして、「どちらが直立した姿勢を保てるか」といった押し相撲のような勝負を行います。
一方、高強度のネッキングでは首を大きく振り回し、激しい打撃戦に発展する場合があります。

重くて硬い頭蓋骨を振り回す攻撃は強力で、相手を気絶させるほどの威力を発揮することもあります。
また、稀ではあるもののこのネッキングによって首の骨が折れて死んでしまうオスもいます。
このような情報を聞くと、キリンのネッキングも「肉食動物たちが行う血みどろの戦い」と同じように思えるかもしれません。
しかし動物学者たちによると、キリンたちの戦いは単なる暴力ではなく、礼儀と様式美に溢れたものだというのです。
なぜそう言えるのでしょうか。