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Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部
biology

霊長類の脳をくらべた結果、ヒトにしかない「脳のつながり」を発見!

2025.03.30 21:00:21 Sunday

地球に最初の霊長類が出現したのは、恐竜が絶滅した直後の約6500万年前のこと。

そこから長い年月を経て、サルやゴリラ、チンパンジー、ボノボ、オランウータン、そしてヒトが進化しました。

霊長類はどれも自然界で高い知能を誇っていますが、中でも私たちヒトの知能は群を抜いています。

ヒトは数百メートルに及ぶ巨大な建造物からコンピューター、AI、果ては宇宙船までも作りだしてしまいました。

しかし、なぜヒトは他の霊長類に比べて知能がこれほど高いのか、何がヒトを特別にしているのかはまだ解明されていません。

そんな中、英オックスフォード大学(University of Oxford)の研究チームは、他の霊長類とヒトの脳を比較し、どこが明確に違うのかを調査。

その結果、脳内の接続においてヒトにしかみられない領域があったことが判明したのです。

それは一体どの脳領域で、どんな働きをする場所なのでしょうか?

研究の詳細は2025年3月17日付で科学雑誌『The Journal of Neuroscience』に掲載されています。

What makes the human brain unique? We compared it with monkeys and apes to find out https://theconversation.com/what-makes-the-human-brain-unique-we-compared-it-with-monkeys-and-apes-to-find-out-252331
Connectivity profile and function of uniquely human cortical areas https://doi.org/10.1523/JNEUROSCI.2017-24.2025

ヒトの脳はどこが特別なのか?

私たちヒトのは、他の霊長類とどこがどのように違っているのでしょうか?

知能が高い、言葉を話す、未来を思い描ける……ヒトにはさまざまな能力がありますが、その違いの源を突き止めるのは簡単ではありません。

これまでは主に「脳の大きさ」が高い知能の要因と考えられることがありました。

確かに脳のサイズも知能の高さに関連していますが、サイズだけならヒトより大きな脳を持つ動物はいます。

例えば、ゾウの巨大な脳にはヒトの3倍ものニューロン(神経細胞)が詰まっていますが、ヒトほどの高い知能はありません。

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Credit: canva

また「前頭前皮質」の発達度合いがヒトらしさの鍵とも指摘されてきました。

前頭前皮質は計画力や意思決定などの高度な認知機能に関わる領域として知られ、そこに着目してヒトと他の霊長類との違いを探る研究が数多く行われています。

実際、脳の進化を比較した過去の研究でも、ヒトでは前頭葉の一部が顕著に拡大していることが示唆されています。

しかし研究チームは「こうした従来の焦点とは異なる場所にヒトならではの秘密が隠されているのではないか」と考え、今回の研究を開始しました。

具体的には、ただ脳の大きさや形を比べるのではなく、どの領域がどのように他の領域とつながっているか、つまり脳内の接続構造そのものに注目したのです。

次ページヒトにしか存在しない「脳のつながり」とは?

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