カシューナッツの「残り物」の効果を検証
カシューナッツは、世界中でおつまみやお菓子に用いられる人気のあるナッツです。
しかし、その構造を知ると、実は「ナッツ」だけが主役ではないことに気づきます。
カシューナッツはカシューナットノキという木から得られますが、その木になる実は、ナッツ、カシューアップル、そして殻の3つの部位で構成されています。

ナッツ(CK)は通常私たちが食べる部分で、硬い殻の中にある種子です。
カシューアップル(DA)はナッツの上にあるカラフルでジューシーな偽果(果托)で、実際には果実全体の90%以上を占めています。
殻つまりシェル(SH)はナッツを包む外殻で、通常は捨てられますが、実は強力な植物化学成分を含んでいます。
世界では大量のカシューナッツが生産されていますが、その副産物であるカシューアップルやシェルのほとんどが廃棄されています。
研究チームは、この大量に廃棄されている部位に着目しました。

実は、これまでに行われた様々な研究が、カシューナッツにおけるカシュ―アップル、シェル、ナッツが人間や動物における脂肪蓄積能力を減らす可能性を示しています。
しかし、その詳細や脂肪細胞の分化に対してどのような影響が及ぶかは調査されていませんでした。
脂肪細胞の分化とは、前駆脂肪細胞と呼ばれる未熟な細胞が、脂肪を蓄積する能力を持つ成熟した脂肪細胞へと変化するプロセスのことです。
この分化の過程は、肥満の進行や代謝疾患と密接に関係しており、脂肪組織の増加に直結します。
そこで今回、礒田博子氏ら研究チームは、肥満の原因である脂肪細胞の形成と脂肪蓄積を抑える可能性があるかどうかを、マウス由来の前駆脂肪細胞を使った実験で調査しました。