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Credit: The MICrONS Project(Nature, 2025)
brain

【砂粒サイズに5kmの神経】史上最も詳細な「脳の配線図」の作成に成功!

2025.04.10 21:00:30 Thursday

これまでで最も詳細な「脳の配線図」を作成することに成功したと、米ベイラー医科大学(BCM)が発表しました。

対象となったのは、わずか1立方ミリメートルのマウスの視覚皮質。

そこから明らかになったのは、約8万4000個の神経細胞、その細胞同士を結ぶ5億以上のシナプス、そして総延長5.4キロメートルにも及ぶ神経の配線でした。

研究の詳細は2025年4月の科学雑誌『Nature』に掲載される予定です。

Scientists complete largest wiring diagram and functional map of the brain to date https://medicalxpress.com/news/2025-04-scientists-largest-wiring-diagram-functional.html US scientists create most comprehensive circuit diagram of mammalian brain https://www.theguardian.com/science/2025/apr/09/us-scientists-create-most-comprehensive-circuit-diagram-of-mammalian-brain

脳は「小さな宇宙」

はそのニューロン(神経細胞)やそれらを結ぶシナプスのあまりの多さから「小さな宇宙」と呼ぶにふさわしい存在です。

ヒトの脳には約860億個ものニューロン詰め込まれており、シナプスの数は100兆以上と推定されています。

これは宇宙全体にある銀河の数をも上回るといわれるほどです。

私たちの脳はこの無数のニューロンやシナプスの間で電気信号をやりとりすることで、思考や記憶、感情といった複雑な働きを実現しています。

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Credit: canva

その一方で、膨大すぎるニューロンやシナプスの多さから、脳の配線図が完全に把握されたことはありません。

1979年に、著名な分子生物学者のフランシス・クリック「脳組織1立方ミリメートルの配線図さえ、正確に描くことは不可能だ」と述べました。

しかし数十年の時を経て、クリックが不可能といったことが、可能なものとして現実になろうとしています。

研究チームは今回、わずか1立方ミリメートルのマウスの視覚皮質を対象とし、その配線図を可視化する壮大な試みに挑みました。

この視覚皮質は実に砂粒ほどのサイズしかありません。

この取り組みは、米国政府の高等研究機関IARPA(Intelligence Advanced Research Projects Activity)の支援を受けて進められた「MICrONSプロジェクト」の一環です。

次ページ史上最も詳細は「脳の配線図」を作成!

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