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Credit: 総合研究大学院大学 – 台湾からデニソワ人—台湾最古の人類化石はデニソワ人男性の下顎骨だった—(2025)
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台湾最古の人骨はホモ・サピエンスではなく、あの絶滅人類だったと判明! (2/2)

2025.04.14 12:00:31 Monday

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台湾に住んでいた男性のデニソワ人と判明!

澎湖1号は、台湾の澎湖水道の海底で見つかった下顎の化石であり、年代は約10万年前(最も古い見積もりでは19万年前)とされています。

形が非常に頑丈で原始的だったため、独自の人類系統の可能性が議論されてきました。

ところがこの化石からは、DNAがほとんど抽出できず、正確な分類ができないままでした。

そこで研究チームは今回、最新の技術を活用し、歯と骨に残された古代タンパク質を解析。

その結果、コラーゲンやエナメル質のタンパク質の中に、デニソワ人特有のアミノ酸変異を2カ所発見されたのです。

特にAMBN(アメロブラスチン)とCOL1A2(コラーゲンα2鎖)というタンパク質における変異は、デニソワ人の他の化石と一致しており、系統樹解析でも「デニソワ3」と呼ばれる基準個体と同じグループに分類されました。

さらに、歯のタンパク質から男性特有のアメロゲニンY(AMELY)が確認され、この個体が男性であったことも特定されています。

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 研究成果をもとに想像したイメージイラスト。台湾の明るい太陽の下を頑丈なデニソワ人の男性が歩いている/ Credit: 総合研究大学院大学 – 台湾からデニソワ人—台湾最古の人類化石はデニソワ人男性の下顎骨だった—(2025)

これらの結果から、澎湖1号は東南アジアに生きていたデニソワ人男性の化石であると、確定的に言えるようになったのです。

この発見は「デニソワ人が温暖湿潤な東南アジアにも生息していた」という、これまでゲノムだけで推測されていたことを初めて化石そのものの証拠として裏づけたものでした。

また、澎湖1号を含めた複数のデニソワ人化石から、彼らの歯や下顎の特徴―太く、低く、非常に大きな奥歯―が、ネアンデルタール人とは対照的な進化をたどっていたことも見えてきました。

今回の発見は、アジアにおける人類進化の歴史を大きく塗り替える可能性を秘めています。

これまでデニソワ人は寒冷地に限定されると思われていた常識を覆し、温暖な地域にも広がっていたことが示されたのです。

そしてDNAが失われていたとしても、古代タンパク質を手がかりにして、数十万年前の人類の物語を蘇らせることができる時代が来たことを意味しています。

たったひとつの骨が語る壮大な進化の物語は、これからも私たちを驚かせてくれるに違いありません。

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