ノルウェーの山岳氷河から1300年前のスキー板が発見される!

今回のスキー板発見の背景には、「Secrets of the Ice」という氷河考古学プロジェクトの存在があります。
このプロジェクトは、ノルウェー・インランデ県議会とオスロ大学に属する文化歴史博物館(Museum of Cultural History, Oslo)が共同で運営しており、氷河の融解によって現れる貴重な遺物の発見と保護を目的としています。
2006年、気候変動による氷の大量融解で数百点の遺物が発見されたことをきっかけに始まり、2011年には資金提供を受けて本格始動。
2016年からは”Secrets of the Ice”として公式ウェブサイトとSNSを通じて一般向けの情報発信を強化し、国際的な注目を集める存在となりました。
このプロジェクトでは、人工衛星画像、現地のハイカー、トナカイ牧夫たちの協力を得て、有望な氷河地点の探索が行われています。
そうした活動の中で発見されたのが、今回の1300年前のスキー板です。

この発見の舞台は、ノルウェー中部のディゲルヴァルデン山(Digervarden Mountain)です。
ここでは2014年に約1300年前の片方のスキー板が発見されており、今回発見されたもう一方の板と見事に一致しました。
このスキー板は長さ約187cm、幅約17cmで、革製のストラップや木の繊維、接合部の細部に至るまで極めて良好な保存状態を保っています。
当時の人々が、過酷な冬の高地環境での移動や狩猟に備えて高度な道具を用いていたことが、この遺物からはっきりと読み取れるのです。
この発見について、「Secrets of the Ice」プロジェクトの共同ディレクターであるラース・ホルガー・ピロー氏は「私たちが過去に見つけたどのスキー板よりも状態が良く、完全な形で発見されたことに驚いています」と語っています。
では、この発見から私たちは何を学ぶことができるのでしょうか?