トリュフ掘りは仲間に伝播する?
また興味深いことに、ある雌のゴリラが地元の群れを離れて別の群れに参加した後、それまで行っていなかったトリュフ掘りの行動を始める様子が観察されました。
これはトリュフ堀りの行動が環境要因だけでなく、社会的な影響によっても変化することを示しています。
この発見は、野生動物の「文化」的行動を示す証拠のひとつとされ、チンパンジーやオランウータンに見られる行動伝播と同様、ゴリラにも文化的伝承がある可能性が浮かび上がってきました。

この研究を主導したガストン・アベア(Gaston Abea)氏は、ヌアバレ=ンドキ国立公園に最も近い村ボマッサ(Bomassa)の出身で、先住民バアカ族(Ba’Aka)の出自を持っています。
2000年に保護区での勤務を始めた彼は、地元の自然に対する深い理解と、追跡技術における卓越した能力を活かし、徐々に研究の世界へと足を踏み入れました。
2005年以降、彼はヌアバレ=ンドキ地域で訓練を受けた100人以上のコンゴ人研究アシスタントのうちの一人となり、現在ではこれまでに7本の論文に共著者として名を連ねるほどになっています。
そして今回の研究が、自身の研究キャリアにおいて初めて筆頭著者として発表した記念すべき論文となりました。
アベア氏はこう話しています。
「かつて私たちの祖先はゴリラを狩っていました。しかし今は保護する立場にあります。
これからは自分のような若いバアカ族が、保全の担い手として活躍することを願っています」