4万年前に発生した磁場の異常現象
地球は「磁場」という見えない磁力のバリアに包まれています。
この磁場は、地球の外核を流れる溶けた金属によって作られ、宇宙から飛来する太陽風や宇宙線といった高エネルギー粒子を遮る「磁気シールド」のような役割を果たしています。
しかし、この磁場は常に安定しているわけではありません。
地質学的な時間スケールで見ると、磁場の向きが逆転したり、一時的に弱まったりすることがあります。
その一例が「ラシャンプ地磁気エクスカーション」です。
これは今から約4万1千年前に起きた現象で、研究チームの新たな調査によると、地球の磁場が現在の10%程度にまで弱まり、磁極の位置も大きくずれていたことがわかりました。

この期間はおよそ2000年続き、最も磁場が弱まったピーク時には、地上に降り注ぐ紫外線や宇宙線の量が大幅に増加していたと考えられます。
そして最新の3D磁気圏モデル解析によると、この時期のオーロラは現在よりもはるかに広範囲に出現しており、北アフリカやオーストラリアにまで達していた可能性があります。
この現象はつまり、それだけ強い宇宙線が低緯度まで届いていたことを意味するのです。