サオラはまだ生きている?保護のための良い知らせも
コペンハーゲン大学の研究チームは今回、1990年代から保管されていた31体のサオラの標本のうち、状態の良い26体からDNAを抽出し、全ゲノム解析を行いました。
これにより研究者たちはサオラの意外な進化の歴史を解明し、この種の保全にとって明るい兆しとなる可能性のある事実を見つけました。
まず悪い知らせとしては、サオラの遺伝的多様性は最後の氷期以来ずっと減少し続けてきたことがわかりました。
実際、研究チームによると、過去1万年の間にサオラの個体数は常に5,000頭を超えたことはなかったと推定されています。
しかし良い知らせとして、サオラには北部と南部の2つの遺伝的に異なる個体群が存在することが判明しました。
どちらの個体群も長期的に遺伝的多様性が減少してきましたが、失われた遺伝子領域は異なっており、これは回復のカギとなる可能性があります。

「サオラが2つの集団に分かれ、それぞれかなりの遺伝的違いがあることには非常に驚きました。この分岐は5,000~2万年前に起こったと考えられます」と、デンマーク・コペンハーゲン大学の生物学者ゲニス・ガルシア・エリル氏は語ります。
「それぞれの個体群で失われた遺伝子のバリエーションは互いに補完関係にあります。つまり両者を交配すれば、互いに欠けている部分を補うことができるのです」
科学者たちはすでにサオラの飼育繁殖プログラムの構築に取り組んできましたが、遺伝的多様性が十分かどうかは不明でした。
今回の2集団の発見は繁殖の成功に対する期待を高め、研究内で行われたさまざまな保全シナリオのシミュレーションでは、この方法が最も有望であることが示されています。
「もし最低でも12頭のサオラ(理想的には両個体群からの個体)を集め、将来の繁殖個体群の基盤とできれば、長期的な種の存続の可能性は十分にあると我々のモデルは示しています」と、同チームのラスムス・ヘラー氏は述べています。
もちろんそのためには、まず生きた個体を十分に見つけ出さなければなりません。
しかし最後に生きたサオラを見た時点からすでに12年が経っており、これは容易なことではありません。
ただし、今回の新しいゲノム解析は捜索に役立つ可能性があります。