鳥も友達を作るのか?社会性あふれるカラフルな鳥「ツキノワテリムク」を調査
動物が血縁者と助け合うことはよく知られています。
その理由として、「血縁者の子ども=自分と同じ遺伝子を共有している相手」だからこそ支援するという説が広く受け入れられています。
「遺伝子を長く残す目的で本能的に助け合う」と考えられるわけです。
ですが、たまに見られる「非血縁の個体を助ける行動」は、その説明だけでは理解できません。
そして血縁関係のない動物同士が長期にわたる友情を築くかどうかは、長年議論されてきました。
そこで研究チームは、「非血縁者間にも、継続的な協力関係があるのではないか?」という仮説のもとに、長期にわたる野外調査を実施しました。

対象となったのは、血縁関係以外でも助け合うことで知られているムクドリでした。
アフリカの広大なサバンナに生息するツキノワテリムク(学名:Lamprotornis superbus)は、ムクドリの一種です。
名前のとおり、胸元にはくっきりとした白いバンド模様「ツキノワ」を持っています。
また、青緑の光沢を持つ背中と鮮やかなオレンジ色の腹を持ち合わせており、その美しい体色でよく知られています。
体長は20cmほどと中型で、観光地などでも人懐っこく姿を見せるため、人気の鳥でもあります。
しかしこの鳥の真の魅力は、その「見た目」ではなく「社会性」にあります。
ツキノワテリムクは、「協同繁殖」を行う種のひとつなのです。
では、この鳥たちの間では、どのような助け合いが見られるのでしょうか?
調査は2002年から2021年にわたり、ケニア中部に生息する9つのツキノワテリムクのグループを対象に行われました。
各個体には色分けされた足輪をつけ、数百羽の個々の行動を識別。
40の繁殖シーズンを通じて、毎回の支援行動(エサ運搬、防衛、巣の掃除など)を詳細に記録しました。
さらにDNA検査を通じて、「血縁関係」がもたらす行動への影響も調査されました。