画像
Credit:Canva
physics

暗黒物質は光速粒子の凍結した残骸とする新理論が発表

2025.05.21 17:00:55 Wednesday

暗闇に隠れたその正体は、まるで「凍りついた光」なのかもしれません。

アメリカのダートマス大学(Dartmouth College)で行われた研究によって、初期宇宙で光のように高速で飛び回っていた粒子たちがペアを組んで、やがてエネルギーを失って“冷たく重い暗黒物質”へと凍結した可能性が浮かび上がりました。

銀河を形作る見えない質量の正体が、かつて光速粒子だったというこの大胆なシナリオは、本当に宇宙の謎を解き明かす鍵になるのでしょうか?

研究内容の詳細は2025年5月14日に『Physical Review Letters』にて発表されました。

Cold Dark Matter Based on an Analogy with Superconductivity https://doi.org/10.1103/PhysRevLett.134.191004

なぜ闇は重いのか?

なぜ闇は重いのか?
なぜ闇は重いのか? / Credit:Canva

私たちが普段目にする星や銀河など通常の物質は、宇宙全体のほんの5%程度に過ぎません。

残りの約25%を占めるのが暗黒物質、そして約70%が暗黒エネルギーと呼ばれる未知のエネルギーだと考えられています。

暗黒物質は直接見ることはできませんが、その強大な重力の影響で存在が示唆されています。

たとえば銀河の回転速度や銀河団を透過する光の重力レンズ効果など、観測事実は暗黒物質という“見えざる質量”の存在を強く示しています。

しかし暗黒物質が具体的に何者なのかは依然として謎です。

最有力候補だった「WIMP」と呼ばれる重い粒子も含め、これまで提案されてきた数多くの候補、たとえば弱い相互作用を持つ巨大粒子やアクシオン、原始ブラックホールなどは、未だ決定的な証拠が得られていません。

さらに前提となる標準模型との相互作用の強さを手がかりにした探索はことごとく空振りに終わり、暗黒物質の正体解明は長い停滞に陥っていました。

こうした中、米ダートマス大学の大学院生グアンミン・リャン氏とロバート・コールドウェル教授の研究チームが、まったく新しい暗黒物質像を提案しました。

コールドウェル教授は「ダークマターはその始まりにおいて、ほとんど光のような、質量がほぼゼロの相対論的な粒子だったものの、時間経過とともに質量を持つ存在に変わっていった」と述べています。

なぜ暗黒物質は光のような粒子から質量を持った存在になったのでしょうか?

次ページ新理論では「暗黒物質=凍りついた光速粒子」になる

<

1

2

3

>

人気記事ランキング

  • TODAY
  • WEEK
  • MONTH

Amazonお買い得品ランキング

スマホ用品

物理学のニュースphysics news

もっと見る

役立つ科学情報

注目の科学ニュースpick up !!