画像
Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部
plants

ハチの羽音を聴き分けて、瞬時に「蜜を甘くできる」植物がいた! (2/2)

2025.05.22 21:00:10 Thursday

前ページ花も「音」が聞こえる?

<

1

2

>

音を聴いて、遺伝子の発現まで変えていた⁈

この不思議な反応を裏付けるため、研究チームは花の内部で何が起きているのか、遺伝子レベルでの調査も行いました。

その結果、蜂の羽音を聞いたキンギョソウは、糖の輸送や蜜の生成に関わる遺伝子の発現を実際に変化させていたのです。

つまり、花はただ「音に反応している」のではなく、「音をきっかけに代謝プロセスそのものを調整している」という高度な仕組みを備えていたのです。

しかも、これは「リアルタイム」の現象です。

羽音を再生してから数分以内に、蜜の糖度や量に変化が見られたといいます。

このスピード感もまた、植物が音を「情報」として捉えていることの証といえるでしょう。

研究の背景には、花が持つとされる「バイブロアコースティック感知能力(振動音響認識能力)」という新しい視点があります。

人間でいうところの骨伝導のような仕組みで、音波や振動が花の組織を通じて伝わり、内部で化学的なシグナルが引き起こされるのです。

もしこの能力が他の植物にも存在するのだとすれば、私たちが知る「植物の感覚」は、根底から塗り替えられるかもしれません。

花の周囲でざわめく羽音や風の振動、あるいは人間の話し声すら、植物にとっては「意味のある世界のサイン」なのかもしれないのです。

私たちはこれまで、植物を「受動的」な存在として扱ってきました。

しかし今回の研究が示したのは、植物が環境に耳を澄まし、必要に応じて自らを変化させるという「能動性」です。

もし将来的に、植物が発する音や反応を利用して、送粉者の行動を操る技術が開発されれば、農作物の生産効率を音でコントロールするという夢のような応用も現実味を帯びてくるかもしれません。

<

1

2

>

ハチの羽音を聴き分けて、瞬時に「蜜を甘くできる」植物がいた! (2/2)のコメント

Trichoderma

Vibroacoustic recognition abilityのメカニズムはどのようなものなのでしょう。詳しく知りたいものです。虫媒花全般にこの能力が存在するとしたら様々に応用できそうですね。ただ、米・麦・トウモロコシの類は風媒花ですからねぇ。いやいや、彼らも適切な風を感じると花粉を集中的に飛ばす、というものなんでしょうか。

コメントを書く

※コメントは管理者の確認後に表示されます。

人気記事ランキング

  • TODAY
  • WEEK
  • MONTH

Amazonお買い得品ランキング

スマホ用品

植物のニュースplants news

もっと見る

役立つ科学情報

注目の科学ニュースpick up !!